【京都記念】最低人気の優勝馬はアフリカンゴールド 伝統の京都GⅡの「記録」を振り返る

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2022年はベテラン勢が躍進

今週は京都記念が開催される。1942年から開催されている伝統の一戦で、リユウフオーレルやタケシバオー、タニノチカラやテンポイントといった古の名馬たちも勝利してきた。時代が移り変わった現在も、ラヴズオンリーユーやドウデュースといったチャンピオン級の名馬が駆け抜けてきた。今回は1986年以降の京都記念の記録を振り返る。

この37年間で馬券圏内に食い込んだ114頭のうち、4歳馬は43頭。実に、3分の1 以上が4歳馬ということになる。勝ち馬も19頭で半数が4歳馬。テイエムオペラオーやアドマイヤムーン、クロノジェネシスやドウデュースといったその時代のトップホースが勝利をあげてきた。そのうち、2008年アドマイヤオーラと2010年ブエナビスタは兄妹制覇でもある。3歳戦を戦い抜き、古馬になって最初の一戦としてここを選び、勢いをつけた馬は多い。

5歳馬は35頭、6歳馬は24頭、7歳馬は11頭と、馬齢を重ねるごとに好走馬は減っていく。5歳馬は14勝をあげているが、1番人気で勝利したのは4頭。4歳馬が1番人気で12勝をあげているのと比べると、少ない印象を受ける。また、1番人気と並ぶ4頭の勝ち馬を輩出している3番人気からは、アサクサキングスやラブリーデイ、サトノクラウンらが勝利をあげている。

京都記念で最も低い人気で勝利したのは、2022年12番人気のアフリカンゴールド。これは7歳時の記録で、最年長勝利のタイ記録でもある。前年末の中日新聞杯で17番人気2着、年明けの日経新春杯で12番人気5着だったベテランが、国分恭介騎手の檄に応えて逃げ切った。2022年は、2着に8番人気タガノディアマンテ(6歳)、3着に6番人気サンレイポケット(7歳)と、人気薄のベテラン勢が躍進した京都記念となった。単勝は51.5倍、三連単は6791倍という波乱決着に驚いたファンも多かった。

最年長での馬券圏内好走は、2008年のシルクフェイマス。大ベテランとも言える9歳ながら、4歳のウオッカやフサイチホウオー、5歳のドリームパスポートらに先着する意地の走りを見せた。こちらもアフリカンゴールド同様に逃げ粘る形だった。なお、シルクフェイマスは5歳シーズンに京都記念を制している。5歳で1着、6歳で10着、7歳で4着、9歳で3着、10歳で8着と、5度にわたって京都記念に出走したチャレンジャーであった。

60キロをものともせず押し切った6歳馬ナリタトップロード

アフリカンゴールドは前走日経新春杯から勝利。シルクフェイマスも5歳シーズンは同様のローテで勝利をあげている。勝ち馬の前走で最も多いのは、日経新春杯と有馬記念の8回ずつ。京都金杯が5回で続く。

前走が有馬記念で京都記念を制した8頭のうち、5頭(ビワハヤヒデ、テイエムオペラオー、ブエナビスタ、トゥザグローリー、ラヴズオンリーユー)が1番人気での勝利。ナリタトップロードとアサクサキングスが3番人気で、最も人気薄なのがデスペラードで6番人気。やはり人気を集めての勝利が多かった。

一方で日経新春杯から京都記念を制した馬は、1番人気だったのがシンチェスト、エモシオン、シルクフェイマスの3頭のみ。12番人気のアフリカンゴールドのほか、マイソールサウンドが8番人気、ダイナカーペンターが6番人気と伏兵評価を覆した馬も多い。また、2003〜2005年は日経新春杯からのローテ馬が3連勝と固め打ち。アフリカンゴールド勝利の翌年は凱旋門賞帰りのドウデュースが勝利をあげたが、3着には日経新春杯3着のプラダリアが食い込んだように、まだまだこのローテの勢いは感じられる。今年はナイママが日経新春杯7着から、プラダリアが有馬記念14着から出走予定だ。

また、勝ち馬の斤量としてはビワハヤヒデとアドマイヤムーンの59キロが2番手で、最重量はナリタトップロードの60キロ。4歳勢のボーンキングとミスキャストが1、2番人気の一戦だったが、6歳のナリタトップロードが斤量を跳ね除け勝利。2着にも6歳馬マチカネキンノホシが食い込んだ。馬券圏内であれば2005年にヒシミラクルも60キロで3着に食い込んだことがある。奇しくもどちらもサッカーボーイ産駒である。

今年はどの世代のどの血統の馬が、伝統の一戦を制するのか。注目したい。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。



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