四国整備局/山鳥坂ダム仮排水トンネル工事(愛媛県大洲市)起工式開く、施工は鹿島

愛媛県大洲市の肱川水系河辺川に国直轄で建設する山鳥坂ダムの本体関連工事の初弾がスタートする。四国地方整備局は、本体建設のために川の流れを一時的に切り替える仮排水トンネル工事の起工式を4日に大洲市内で開いた。延長682メートル、直径8メートルで施工は鹿島が担当。1年後の2025年2月の貫通を目指す。
式典には長谷川淳二衆院議員、山本順三参院議員、足立敏之参院議員、地元首長ら約90人が出席。佐々木淑充四国整備局長は「肱川水系は6年前の西日本豪雨で多数の被害が出た。少しでも地域を安全にとの思いで準備を進めてきた。治水安全度の向上に尽力する」と話した。関係者が鍬入れし工事の安全を祈願した。
山鳥坂ダムは1992年に建設事業に着手した重力式コンクリートダム。堤高96メートルで総貯水容量2200万立方メートルとなる。25年度にダム本体の基礎掘削に着手し30年度に堤体工を完了させ、試験湛水を経て32年度の完成を目指す。
竹内宏隆四国整備局山鳥坂ダム工事事務所長によると、現在までに全33戸の家屋移転が完了し、用地取得は約74%、付け替え県道などの工事は約60%の進捗(しんちょく)となっている。仮排水トンネル工事では吐き口部の仮締め切り、仮設備設置が完了し、呑み口部は県道側からの乗り入れ部(仮桟橋)の設置を進めている。工事費は約21億7000万円。
施工予定者が設計を支援するECI方式で技術協力業務も手掛けた鹿島は、トンネル断面下部をフラットに施工するフラットインバートなどの工期短縮策を提案した。施工者を代表しあいさつした同社の風間優代表取締役兼副社長執行役員土木管理本部長は「25年5月末に転流開始を確実に行い、本体着手の絶対条件を死守することが最大の課題。当社の経験や技術を最大限生かし、総力を挙げ工事を完遂させる」と決意を述べた。仮排水トンネル、ダム本体の実施設計は建設技術研究所が担当。
□大塚俊二山鳥坂ダム仮排水トンネル工事事務所長(鹿島四国支店)の話
「安全・確実な施工に努め、工期を厳守する」。

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