国交省/一人親方の働き方実態調査、ゼネコン現場で裁量小さく

国土交通省が初めて実施した一人親方本人を聴取対象とした働き方の実態調査では、一人親方と雇用労働者を線引きする「働き方自己診断チェックリスト」の回答内容を現場の種類別で分析した。ゼネコンの現場で働く場合、ハウスメーカーや町場の住宅現場よりも仕事の進め方や就業時間の決め方に関する自身の裁量が小さい傾向があった。ゼネコン現場では報酬の決められ方も、工事の出来高見合いではなく日給などの比重が大きかった。
2023年11月~24年1月に集めた1612件の回答を分析した。チェックリストへの回答を▽全国展開のゼネコンの現場▽地場中小のゼネコンの現場▽全国展開のハウスメーカーの現場▽町場の大工・工務店の現場-の4種類に分けて整理すると、「仕事の配分や進め方を自分で決められる」のは順に45・7%、48・0%、58・4%、60・7%。「就業時間を自分で決められる」のは47・6%、48・2%、74・6%、69・5%だった。
報酬の決められ方は、ゼネコンの現場で「出来高見合い」が30~40%台、「日給など」が40~50%台だったのに対し、ハウスメーカーや工務店の現場では「出来高見合い」が50~60%台、「日給など」が20~30%台だった。一方、報酬の額が同種の雇用労働者と比較し「同額以下」と回答したのは、いずれの現場も30%台後半~40%台前半だった。
チェックリストの項目のうち「仕事の依頼を断る自由がある」や「他社への業務へ従事できる」は一人親方の独立性を判断する上で重要だ。ただ調査結果を説明した「建設業の一人親方問題に関する検討会」(座長・蟹澤宏剛芝浦工業大学教授)の1月31日の会合では、それ以外の項目は「現場は他業者との協力関係にある」としてチェックの有無だけで適正かどうかを判断するのは難しいとの意見もあった。
会合では労働法の専門家らも「(チェック数で判断できるような)機械的な基準ではない」との共通見解を示し、今後の検討課題として「建設業の働き方の具体的な状況を踏まえた項目を考えていく必要がある」などと話した。

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