プロ初勝利に痛恨の満塁被弾、イースタン最多勝も経験した1年目 松井颯は新生・阿部巨人の新たな柱となれるか

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阿部新体制で飛躍を期す22歳

阿部慎之助新監督の下、新たな戦いに踏み出した2024年の巨人。体制の変更によりどのポジションでも競争の激化は必至、春のキャンプから3月29日の開幕戦まで見逃せない争いが続く。

今季のブレイク候補としては新戦力のほか、昨季ファームで結果を残した選手も当然候補となる。巨人で言えば、イースタン最多勝に輝いた松井颯がその筆頭候補となるだろう。

1年目から味わった栄光と挫折

松井は花咲徳栄高から明星大を経て、2022年の育成ドラフト1位で巨人に入団。1年目の5月にはすぐに支配下昇格を掴み、デビュー戦となった5月21日(日)の中日戦では幸先良くプロ初勝利もマークした。

夏場はファームで経験を積み、8月は4戦4勝で防御率1.32というハイパフォーマンス。8月度の「スカパー!ファーム月間MVP賞」に輝くなど、アピールが実って再び一軍へ。9月3日(日)のDeNA戦からリリーフで3戦連続無失点投球を見せ、日に日に存在感を高めていった。

ところが、勢いに乗って迎えた9月13日(水)の阪神戦。無死満塁という絶体絶命のピンチでマウンドを託されると、一死満塁から佐藤輝明に痛恨の満塁弾を浴びてしまう。続く9月18日(月)のヤクルト戦でもひとつもアウトを奪えぬまま2四球・1失点で降板と2戦続けて悔しい結果となり、最終的にはこの試合が昨季最後の一軍マウンドとなった。

それでもファームに戻って再び先発に回り、9月29日(金)の西武戦で6回7奪三振1失点の好投。8勝目を挙げ、最終的に3人同数ではあったがイースタン最多勝のタイトルを手中に収めた。

その後は10月7日(土)のファーム日本選手権でも先発マウンドを託され、5回1失点と力投を見せるなど、すでに二軍ではエース級の存在だ。良かったことも悔しい想いもすべてが経験。2年目の今季は待望のプロ2勝目、そしてローテーション定着が求められる。

実力者と若手がひしめくローテ争いに殴り込み

巨人の先発陣というと、すでに開幕投手が内定している戸郷翔征が大黒柱で、そこに昨季自身初の2ケタ勝利を達成した山﨑伊織、防御率2点台の安定した投球が光ったフォスター・グリフィンとヨアンデル・メンデスが続く。

以下はかつてのエースである菅野智之や若手・新人がひしめく大混戦模様。横川凱や赤星優志といった昨季一軍で経験を積んだ投手もいれば、ファームで松井に次ぐ7勝を挙げた井上温大や、かつて一軍で2ケタ勝利を達成した経験を持つ髙橋優貴も昨季ファームで6勝を挙げて復活の気配を漂わせる。

そこにドラフトでは中央大の西舘勇陽とHonda鈴鹿の森田駿哉と即戦力投手を1位・2位で立て続けに指名。5位でも社会人・日本生命から又木鉄平を獲得しており、開幕ローテーションをめぐる争いは例年以上に狭き門となりそうだ。

急速に若返りが進む先発陣の中で、戸郷や山﨑に続いて新たな柱となりそうな存在が出てくるか。一軍で味わった悔しさとファームで手にした自信を糧に、2年目のシーズンへ挑む松井颯の開花に期待したい。



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