災害情報の一元管理を 懇話会、市に提言書 茨城・日立大雨被害

提言内容を説明する市民懇話会の信岡尚道座長(左)と中島美那子副座長=日立市役所

2023年秋の台風13号に伴う大雨被害に関する茨城県日立市の市民懇話会(座長・信岡尚道茨城大教授)は5日、今後の災害対応についてまとめた提言書を小川春樹市長に提出した。災害情報を一元管理できる体制づくりや避難所の運営体制の見直しなどが柱。市は3月に策定する災害復旧基本計画に反映させる。

同市は昨年9月、台風13号に伴う線状降水帯の大雨により、河川の氾濫による浸水被害や土砂崩れなどが相次いだ。市は教訓を生かすため、学識経験者や市民を交えた懇話会を設置。委員22人が11月から計3回の会合を重ね協議してきた。

提言は、情報の収集・伝達▽避難所の在り方▽避難行動要支援者への支援▽地域の協力連携▽防災意識の啓発・防災教育の推進-の5項目で構成。早期の避難所開設に向けた地域コミュニティーなどとの協力体制の構築のほか、河川の氾濫や道路の冠水状況を映像などで確認できる仕組み、女性や外国人などの意見を反映した避難所運営などを求めた。

この日、市役所で小川市長に提言書を渡した信岡座長は「想定外の事態にも最低限の対応ができるよう実効性のある訓練の継続が必要」と述べた。副座長の中島美那子茨城キリスト教大教授は「行政と市民が連携できる仕組みを期待したい」と語った。

小川市長は「災害復旧基本計画に具体の取り組みとして反映させ、市民の命と生活を守る防災減災対策に生かしていく」と強調。今後、提言内容の進捗(しんちょく)や改善状況を公表していく考えも示した。

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