42万人来場の「メキシコ展」が大阪に、推しを作る楽しみも?

「国立国際美術館」(大阪市北区)で2月6日より、特別展『古代メキシコ―マヤ、アステカ、テオティワカン』がスタート。日本初公開を含む約140点の至宝が集結し、ユニークな造形美の数々を鑑賞できる。

約140点の至宝が集結する特別展『古代メキシコ―マヤ、アステカ、テオティワカン』

紀元前15世紀から3000年以上にわたって繁栄したメキシコの古代文明を紹介する同展。貴重な出土品や王朝美術を間近で鑑賞・撮影できるとあって、2023年に巡回した東京・福岡会場には延べ約42万人が来場する盛り上がりっぷり。大阪会場は国内最後の開催地となる。

会場では、人気の高い古代都市遺跡の魅力を伝えるべく、代表的な3文明「マヤ」「アステカ」「テオティワカン」を深掘り。なかでも、日本初公開の通称「赤の女王」(マヤのパカル王の妃)の出土品は見どころのひとつ。墓室を模した暗い空間に赤色のマネキンが横たわり、赤い辰砂(しんしゃ)に覆われて見つかったという優美なマスクや貝・ビーズの装飾品が全身を彩っている。

女王墓をイメージした空間。日本初公開『赤の女王のマスク』など、全身の装飾品を展示。アルベルト・ルス・ルイリエ パレンケ遺跡博物館蔵

そして、至る所で目を引くのが石彫や土器などで表現された神や人、動物らのユーモラスな表情。同展の公式Xでは、各担当者の推しとして「バンザイくん」(王座を支えるアトランティス像)、「体育館で校長先生の長話を聞いている小学生」(体育座り風なエエカトル神像)など、あだ名がついているものもあり、その絶妙な表情などからオリジナルでネーミングをする楽しみ方もアリかもしれない。

同美術館・研究員の安來正博さんは、「たしかに日本や四大文明とくらべて『明るさ』を感じますね。昔から食に恵まれた土地という印象もあり、感情豊かな民族性なのかなと。神や自然への祈りなど日本との共通点も多く、岡本太郎など多くの日本の芸術家に影響を与えたというのも納得です」と話す。

ほかにも、鷲の衣装をまとった高さ170cmの等身大とみられる『鷲の戦士像』、ピラミッドを飾った巨大な顔像『羽毛の蛇神石彫』など迫力大の遺物が並び、それらのモチーフにこめられた独自の世界観を体感できる空間となっている。

同展は5月6日までの開催(月曜休館・祝日は開館)。時間は朝10時~夕方5時(金・土曜は夜8時まで)、入館料は一般2100円ほか。

取材・文・写真/塩屋薫

『古代メキシコーマヤ、アステカ、テオティワカン』

期間:2月6日(火)~5月6日(月)
※月曜休館(2月12日・4月29日・5月6日は開館、2月13日は休館)
時間:10:00~17:00、※金・土曜は~20:00(入場は閉館30分前まで)
場所:国立国際美術館(大阪市北区中之島4-2-55)
料金:一般2100円、大学生1300円、高校生900円、中学生以下は無料

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