【新NISA】オルカン以外の選択肢は何がある? 成長投資枠の使い道

新しいNISAが始まり、月々ムリのない金額で投資信託の積立を開始された方も多いようです。一方、年間投資枠360万円を使い切りたいとおっしゃる方も少なくなく、今回は「成長投資枠」をどう使うのかについて解説していきたいと思います。


オルカン一人勝ち?

報道によりますと、2024年1月に販売された投資信託のなんと96%がNISA口座で購入されたそうです。特にeMAXIS Slim全世界株式の資金流入が3400億円とダントツでした。

この投資信託は、いわゆる「オルカン」と呼ばれるもので、2018年の設定以来つみたてNISAで大人気となった商品です。MSCIオールカントリーワールドインデックスという指数に連動するインデックスファンドで、日本を含む先進国および新興国の株式に投資を行います。

まさに、このファンドをひとつ持っていると、世界中の株式会社の株主になれる便利な投資信託です。基本的に、アメリカの株式市場に約6割を投資します。残りは日本、イギリス、フランス、カナダ、ドイツといったその他の先進国に約3割、残りの1割で中国、インド、台湾といった新興国に投資をします。

実際に組み入れられている銘柄を見ると、アップル、マイクロソフト、アマゾン、アルファベット、メタ、テスラといったおなじみの会社が並びます。他にもJPモルガンといった有名な金融機関も名を連ねます。

またこのファンドを通して、NVIDIAやブロードコムといった世界を牽引する半導体関連会社にも投資ができるので、正に世界経済のトップに投資をする醍醐味を味わうことができます。

組み入れ銘柄数は全部で3000社近くにも及ぶので、そのダイナミックスさは初心者のみならず投資の効率を考える人であれば、十分満足がいく内容ではないかと思います。さらに、信託報酬の安さもピカイチで、0.06%は破格と言えます。

もし全世界に低コストで投資をしたいと考えているのであれば、つみたて投資枠で毎月10万円 eMAXIS Slim全世界株式を購入し、成長投資枠でも毎月20万円おなじ投資信託を積立購入してもよいのではないかと考えます。

ETFを検討してみる

eMAXIS Slim全世界株式一択で良いのだろうかとお考えの方のために、成長投資枠で投資が可能な上場投資信託で同じように全世界に投資をする商品を参考のため解説していきます。

例えば、MAXIS全世界株式上場投信(2559)は、eMAXIS Slim全世界株式と同様MSCIオールカントリーワールドインデックスという指数に連動した運用成果を目指すETF(上場投資信託)です。

上場投資信託(ETF)は証券取引所に上場している投資信託です。一般的に知られている投資信託との違いは、値段の付き方といって問題ないでしょう。

投資信託は、購入するタイミングでは値段が決まっていません。その投資信託を通じて投資を行っている全ての銘柄の終値を集計して投資信託の値段が決まります。そのため、投資信託を購入する際には、「1万円分投資信託を下さい」という約束をし、その後に「基準価格が〇〇円なので××口購入できました」というお知らせがくるのです。

一方ETFは証券取引所に上場されているので、株式のように値段が変動します。従ってNISA口座で購入する際でも、「この値段で買いたい/売りたい」と指定する指し値も可能です。

では、MAXIS全世界株式上場投信とeMAXIS Slim全世界株式の月次レポートを比較してみましょう。

投資対象となる国は、eMAXIS Slim全世界株式とほぼ一緒で、比率もほぼ同じです。また組み入れされている上位10銘柄も同じですし、投資銘柄数も同じです。これは同じ指数に連動するインデックスファンドなので、上場していてもいなくても同じになるのはあたり前といえます。

しかし、騰落率を見ると、全ての期間においてeMAXIS Slim全世界株式の方が勝っています。2023年12月29日現在のレポートで過去1年の騰落率は、eMAXIS Slim全世界株式が30.4%なのに対MAXIS全世界株式上場投信は27.9%、過去3年で見るとeMAXIS Slim全世界株式が63.4%なのに対し、MAXIS全世界株式上場投信は55.7%です。

この理由のひとつには、信託報酬の差があるのではないかと考えます。eMAXIS Slim全世界株式の信託報酬は0.06%、MAXIS全世界株式上場投信は0.0858%なので、この差がパフォーマンスに響いてくるのでしょう。またETFは株と同じ取引になりますので、購入する金融機関によって取引コストが異なります。さらに言うと、銀行ではETFは購入できません。

すべての金融機関を調べた訳ではありませんが、eMAXIS Slim全世界株式はつみたて投資枠で購入しても成長投資枠で購入しても購入時手数料は0%としているので、コスト面でも問題ないでしょう。

よく「分散投資をするために投資信託も複数持った方が良いのでは?」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、大切なのは「投資先の分散」であって投資信託の種類ではありません。eMAXIS Slim全世界株式のように、ひとつの投資信託で十分投資先が分散されていればそれで十分なのです。

追い投資をしたいなら

eMAXIS Slim全世界株式だとどうしても日本の株式市場に投資できる割合が5%と程度と低いので、日本の株式に「追い投資」したいとおっしゃる方もいます。日本人たるもの、日本の市場を応援せずどうするんだ!という想いもあるようです。

そんな場合は、つみたて投資枠でセレクトされているTOPIXまたは日経225に連動するインデックスファンドを成長投資枠で積立てるというのも選択肢です。例えば、TOPIXに連動するインデックスファンドの信託報酬でいえば、現在0.1133%が最安値です。また次に控えるのはeMAXIS Slim日本株式(TOPIX)の0.143%で同等のファンドはいくつも存在します。

日本の株式に投資をするのであればETFも魅力があります。上場インデックスファンドTOPIX(1308)は、信託報酬が0.062%とかなり低いです。理論上連動する指数を同じくするインデックスファンドであれば、コストが低い分パフォーマンスにプラスに反映されるわけですから、日本株への「追い投資」を考えている際はETFでも良いかも知れません。

またETFの場合、分配金を受け取れるという点に楽しみを感じる方もいるかも知れません。基本的につみたて投資枠の投資信託は分配金を出さず、投資信託自体を大きくしていくことが目的です。一方ETFは、基本的には年に1回分配金を払い出します。そのため、分配金を楽しみにしたいという方であれば、より株式投資に近いETFも魅力的です。

注意点としては、証券会社でNISA口座を開く際に、「株式数比例配分方式」を選んでいないと分配金が非課税で受け取れないことです。ここは忘れずに確認しておきましょう。

もちろん分配金狙いで「高配当」ETFというものもありますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

投資の基本原則は「長期・積立・分散」投資ですが、必ずしもその選択肢がオルカン一択である必要もありません。少し投資にも慣れてきた、少し投資できる金額にも余裕があるという方は、ご自身なりの投資戦略を考えてみていただければと思います。

※本記事は投資助言や個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします。

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