契約社員です。ずっと年収が360万円だったとしたら、将来、年金をいくらぐらいもらえますか?

老齢基礎年金の受給金額は保険料納付済期間に応じて決まる

国民年金に加入すると、将来、「老齢基礎年金」を受け取ることができます。

老齢基礎年金は、受給資格期間(保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した期間)が10年以上ある場合に、65歳から受け取ることができる年金です。

老齢基礎年金の年金額は、20歳から60歳までの40年間の国民年金保険料の納付月数や免除月数などに応じて計算されます。令和5年4月分からの年金額の計算式は、図表1のとおりです。

出典:日本年金機構 「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」

40年間の保険料をすべて納めると、満額(79万5000円)受け取れるということです。逆にいえば、老齢基礎年金を満額受け取るためには、40年間の保険料をすべて納める必要があるということです。

老齢厚生年金の受給金額は報酬額や加入期間に応じて決まる

厚生年金保険に加入すると、将来、「老齢厚生年金」を受け取ることができます。老齢厚生年金は、老齢基礎年金に上乗せして受け取ることができる年金です。厚生年金の加入期間があり、老齢基礎年金を受け取れる方は、65歳から老齢基礎年金に加え老齢厚生年金を受け取ることができます。

老齢厚生年金の年金額は、厚生年金保険に加入していたときの報酬額や加入期間に応じて計算されます。令和5年4月からの年金額の計算式は、以下のとおりです。

年金額=報酬比例部分+経過的加算+加給年金額

報酬比例部分は、年金の加入期間や過去の報酬などに応じて決まる部分をいい、図表2のように計算します。

出典:日本年金機構 「は行 報酬比例部分」

経過的加算は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分として計算した額から、厚生年金保険の被保険者期間のうち昭和36年4月以降で20歳以上60歳未満の期間の老齢基礎年金相当額を差し引いたものです。計算式は、図表3のとおりです。

出典:日本年金機構 「老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額」

加給年金は、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある方が、65歳到達時点で、その方に生計を維持されている配偶者や子がいるときに加算されるものです。加算される金額は図表4のとおりです。

出典:日本年金機構 「老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額」

ずっと年収360万円の場合の受け取れる年金額は158万4624円

以下では、ずっと年収360万円で働いた場合の、受け取れる年金額を計算します。計算をするに当たり、条件を以下のように設定します。

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・被保険者は、国民年金保険料を40年間納付するものとする
・平均標準報酬額は、30万円とする
・被保険者が厚生年金保険に加入したのは、平成15年4月以降とする
・厚生年金保険の加入期間の月数は、480月とする
・被保険者の生年月日は、昭和31年4月2日以後とする
・加給年金は、考慮しないものとする
・年金額の計算は、令和5年4月からの計算式により行うものとする
・65歳の時点で受け取れる金額を計算するものとする
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その上で、年金額を計算すると、以下のとおりです。

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・老齢基礎年金(年額):79万5000円(満額)
・老齢厚生年金(年額):78万9624円
・合計(年額):158万4624円
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なお、老齢厚生年金の年金額の内訳は、以下のとおりです。

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・報酬比例部分:78万9264円(=30万円×5.481/1000×480月)
・経過的加算:360円(=1657円×1.000×480月-79万5000円×480月/480月)
・加給年金額:0円
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まとめ

本記事では、将来受け取れる年金額について解説をしました。具体的な計算例として、契約社員の方がずっと年収360万円で働いた場合の、受け取れる年金額を試算しました。試算結果は年額158万4624円でした。これを月額にすると13万2052円となります。

この試算結果を見て、「思ったより少ない(または多い)」と思われたかもしれません。しかし、大事なのは試算結果ではなく、それを受けてどのように老後に備えていくかです。あなたが老後の生活に備えるために、本記事が少しでも参考になればうれしいです。

出典

日本年金機構
「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」
「老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額」
「は行 報酬比例部分」
「た行 定額部分」
「年金額の計算に用いる数値」

執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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