「もったいない」代々続く正月の縁起物ダイダイ 商品化のきっかけは「駅」 熱海の宝を未来に残すために【SDGs】

観光地の静岡県熱海市では、いま特産品のダイダイでさまざまな商品開発を進めています。商品化の裏には、SDGsへつなげたい思いがありました。

【写真を見る】「もったいない」代々続く正月の縁起物ダイダイ 商品化のきっかけは「駅」 熱海の宝を未来に残すために【SDGs】

丹那産の牛乳に数種類のフルーツをブレンド。

「ダイダイの果汁です」

主役は熱海特産のダイダイです。温泉街にマッチするレトロな瓶にそそがれる「熱海だいだいネクター」。1月下旬から熱海市を代表する文化施設・起雲閣で販売が始まりました。

<来館者>
「すごくおいしいです」
「オレンジの甘み、香りがさわやかでおいしいです」
「容器自体もレトロな感じで…この建物のシックな感じにあってる」

<起雲閣 中島美江統括責任者>
「熱海は作付面積が日本一といわれるぐらいダイダイの産地。少しずつ(ダイダイの)商品が生まれてたくさんの需要がうまれていけば」

1月誕生した熱海だいだいネクター。商品化のきっかけはJR熱海駅にありました。

<JR東日本熱海駅 佐々木孝幸主務>
「こちらが熱海のダイダイアロマを配合した除菌ハンドスプレーになります。少し手に取るとダイダイのアロマが香る」

2023年12月から熱海の玄関口に設置されたダイダイ入りの除菌スプレー。このスプレーを作る過程で一つの「もったいない」に気づいたのです。

<JR東日本熱海駅 佐々木孝幸主務>
「アロマは皮から作るので残った果実や果汁は使われなくて非常にもったいない。それが商品開発に至った」

<シトライカンパニー 岡野谷伸一郎代表>
「これが破棄されるダイダイ。これなんか見るとわかるんですが、汚いじゃないですか。汚いとお飾りに使えない」

「代々続く」の意味が込められ、縁起物として正月の飾りつけに欠かせませんが、活用方法が限られているのが現状です。

「ここもダイダイ畑だったんですよ」

代々続くはずのダイダイ畑。生産者の高齢化などにより生産が半減しています。JAふじ伊豆によりますと、ピーク時の20年前には生産量は200トンでしたが、ここ数年は100トン前後と減少が続きます。

岡野谷さんはダイダイの栽培を始めて6年目。廃棄される果実を果汁に加工して、起雲閣のネクターづくりに協力しています。

<シトライカンパニー 岡野谷伸一郎代表>
「ものすごくありがたい話です。使ってくれるところがないと破棄につながる。僕も熱海に生まれ育ってるんで、熱海の宝を未来に残して、未来に残すために何ができるのか考えながら事業を進めている」

岡野谷さんは、これからも持続可能な農業にするためには、女性も気軽に参加できるようにして生産者を増やしていくことがポイントなると話していました。

© 静岡放送株式会社