女性の自立支援強化 茨城県計画案 施設の条例案も 貧困やDVなど受け

茨城県が貧困やドメスティックバイオレンス(DV)などの問題を抱える女性の支援に向けた基本計画案をまとめたことが5日、分かった。市町村の支援員配置や相談窓口を拡充するほか、個別のケースに対応するため専門家らで構成する支援調整会議も整備する。県が設置する自立支援施設の運営基準を定めた条例案も新たに固め、3月の県議会定例会に提案する方針。

4月に施行する「困難な問題を抱える女性支援法」では、都道府県に基本計画の策定を義務付けている。DVや性暴力、貧困、孤立など女性を取り巻く問題が多様化する中、行政に相談しやすい仕組みや民間と連携した取り組みを進めることで、女性が安心して暮らせる社会の構築を図る。

計画案では、相談しやすい体制づくり▽回復と自立に向けた支援体制整備▽計画の総合的推進-の3項目を基本目標に掲げ、「女性の人権が尊重され、安心して自立し暮らせる県の実現」を目指す。

相談体制では、民間団体と連携し、多様な仕組みを検討する。市町村の相談体制強化に向けた支援も進め、現在4市にとどまる女性相談支援員の配置を2026年度までに10市町村へ拡大させる。県などが設ける女性の悩みに関する相談窓口の認知度向上も図る。

自立支援では、配偶者からの暴力やストーカー被害を受けるなどした女性の一時保護を委託する民間シェルターを現在の3カ所から5カ所に増やす。孤立防止へ向けた居場所づくりを促すほか、生活困窮者やひとり親家庭への支援、精神的心理的ケアを必要とする女性には専門機関と連携した支援の充実なども図る。

関係機関や専門家でつくる「支援調整会議」も新たに整備し、各ケースごとの状況を把握しながら本人の意思を尊重した支援方針を検討していく。相談員や職員向け研修会の充実や、性暴力、薬物依存に関する教育にも力を入れる。

計画期間は24~26年度の3年間。今月末までパブリックコメント(意見公募)を実施し、3月にも策定する予定。

このほか、県は女性の自立支援施設「県立若葉寮」の運営基準を定める条例案を県議会3月定例会に提案する方針も固めた。

関係者によると、運営基準では職員、栄養士、看護師などの配置基準や施設長の資格要件などを規定。医務室や静養室など建物の設備についての規定も盛り込み、入所者に対し、適切な支援提供を図る方針だ。

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