副業分の「住民税」の納付書が届きました。給与からも「1万円」引かれているのですが、これって「二重課税」ではないですか? 本当に払う必要はあるのでしょうか…?

「自分で納付」とは

確定申告書には、図表1のとおり「住民税・事業税に関する事項」という欄が設けられています。そして住民税の行には、「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の納付方法」という欄があり、「特別徴収」か「自分で納付」を選択できるようになっています。
「自分で納付」に○をすると、副業にかかる住民税については、給与にかかる住民税とは別で自分で納付する形となるので、納付書が自宅に届きます。

図表1

東京都北区 徴収方法(住民税の納め方)

「自分で納付」に○をする理由

副業の確定申告をするときは「自分で納付」と聞いて、よくわからないけれどとりあえず選択したという人もいるのではないでしょうか。「自分で納付」を選択する理由は、会社に副業をしていることを知られないためです。

住民税は給与から毎月天引きされているかと思いますが、これを「特別徴収」といいます。特別徴収は、社員の住民税を会社が給与から天引きし、まとめて地方自治体に納付する仕組みです。よって、社員一人ひとりの収入や所得、所得控除、住民税額などが会社に通知されているのです。

副業の確定申告をした場合、「特別徴収」を選択してしまうと、その副業分についても記載されてしまうので、会社に副業をしている事実がバレてしまいます。副業禁止の会社で働いている人は問題になるでしょう。

しかし、「自分で納付」を選択すると会社には副業分の情報は通知されません。役所から会社に届く住民税の情報から副業がバレることはないでしょう。

二重課税ではない

もうお分かりかと思いますが、自宅に届いた住民税の納付書は副業にかかる分、給与から天引きされている住民税は給与にかかる分です。よって、二重課税ではありません。その2つの合計が、納税者が納めるべき住民税額です。

もし、二重課税と勘違いをして会社に質問をしてしまうと、自分で納めている住民税があることを知られるでしょう。自ら副業の存在を告白することになるので注意してください。

【参考】確定申告が不要になる20万円ルール

副業をしているからといって、すべての人が確定申告をしなければならないわけではありません。副業による所得が20万円以下の場合は、確定申告しなくてもよいというルールがあるので、該当する場合には利用しましょう。

まとめ

副業の確定申告をした後、「自分で住民税を納付した+給与から住民税が天引きされている」となっても問題はありません。むしろ、それで正常です。副業分と給与分を別々に納めているだけであり、決して二重課税ではないので安心してください。

出典

東京都北区 徴収方法(住民税の納め方)
国税庁 スマホで確定申告(副業編)

執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

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