63歳、いまだに「就職しなさい」と…「ザ・コレクターズ」加藤ひさしさん、熊谷の母校で「諦めずやり通して」

吹奏楽部の生徒と共演し、「パレードを追いかけて」を歌う加藤ひさしさん=1月29日午後、埼玉県熊谷市妻沼の市立妻沼東中学校

 埼玉県熊谷市出身でロックバンド「ザ・コレクターズ」の加藤ひさしさん(63)は1月29日、母校である同市妻沼の市立妻沼東中学校(森香明校長、生徒数307人)で講演した。加藤さんは全校生徒の前で、自身の半生を振り返りながら「好きなことをやり続けてほしい」と後輩に熱いエールを送ったほか、吹奏楽部と共演して自ら作曲した曲「パレードを追いかけて」を熱唱した。

 加藤さんは県立深谷高校、千葉工業大学卒業後、サラリーマンを経て、1986年にザ・コレクターズを結成。ボーカルとして活躍するほか、作詞や作曲も行っており、これまでに矢沢永吉さんや小泉今日子さん、藤井フミヤさんらに楽曲を提供してきた。

 加藤さんはロックバンド「ビートルズ」が好きになり、音楽を始めた学生時代のエピソードを紹介。中学で禁止されていたビートルズのレコードを流して怒られたり、同級生らと組んだバンドで同校で初開催したライブの観客は15人だったことを伝えた。

 87年にメジャーデビューし、ビートルズが日本公演を行った日本武道館でライブが実現できたのは2017年。芸能界入りを反対していた母親(89)からはいまだに「就職しなさい」と言われることを明かしつつ、「好きなことを仕事にしてやり遂げるには30~40年かかるかもしれないが、諦めずに最後までやり通してほしい」と語った。

 同校2年生で生徒会副会長の市野瀬綾乃さん(14)は「(加藤さんは)地元民として誇り。夢中になることを見つけて、最後まで続ける大切さを感じた」と話していた。

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