物価高のため貯金額がすっかり減ってしまいました。仕方ないことなのでしょうか?

家計を安定させるための貯蓄をまず確保

家計を安定させるために、一定の貯蓄額を確保しておきましょう。例えば、転職や失業、災害などで一時的に収入が途絶えたり、病気やケガで支出が増えるなど万が一のケースに備え、まずは「緊急資金」といわれる予備資金を確保しておいてください。

貯蓄額の目安としては、毎月の支出の3ヶ月分から6ヶ月分ですが、1年分があるとなお安心です。貯蓄で緊急資金が確保できているかチェックし、不足している場合はできるだけ備えておいてください。

また、物価高で毎月の家計が赤字になっている場合は、緊急資金の確保と併せて家計の見直しも行いましょう。

収支を改善するための家計の見直し

老後の生活などで意図的に貯蓄を切り崩す状況は別として、日常の収支は黒字にしておく必要があります。毎月の収入と支出のバランスをチェックして、収支が黒字になっているか確認しましょう。

物価高により支出が増えて、貯蓄が減っているケースでは、収支が赤字になっていると考えられるので、家計の見直しが必要です。

一般的に家計の金融資産を増やすには、「収入を増やす」「支出を減らす」のほか、資産運用では「運用利回りを上げる」という方法が挙げられます。そのなかでも、家計の見直しのために即効性のある対策としては「支出を減らす」が有効です。

食費や日用品、光熱費といった生活に欠かせない支出は確保する必要があるので、交際費や娯楽費など、それら以外の支出を減らし、支出にメリハリをつけた上で増加を抑えるのがいいでしょう。

また、携帯電話の通信プランの変更や、利用頻度が低いサブスクの解約などを検討していなかった場合、これを機会に見直してみてください。

中長期的な物価上昇への対応

物価上昇がいつまで続くのかは分からないため、もし今後もインフレ傾向がしばらく続くとなると、支出の見直しだけで対応するのは限界があるかもしれません。その場合には「収入を増やす」、資産運用での「運用利回りを上げる」という点についても検討しましょう。

収入を増やす例としては、給料の高い仕事に転職する、副業を始める、パートやアルバイトであれば勤務時間を増やすなどが考えられます。また、できる限り長く働いて収入を得るという考え方で、定年退職後も継続して就労するのもいいでしょう。

資産運用で運用利回りを上げる点については、老後に向けて長期間の運用が可能な資金であれば、ある程度のリスクを取って投資するという方法になります。

特に2024年からはNISA制度が大きく改正され、年間の投資枠や非課税で運用できる金額が増えたこともあり、長期間の投資は物価高が中長期的に続く場合に対応する方法の1つとなるでしょう。

まとめ

物価高で支出が増えてしまう状況でも、家計を安定させるためには一定の貯蓄を確保する必要があります。

貯蓄が減っても仕方ないと考えるのではなく、まずは全体的に家計を見直して収支を黒字にしましょう。また、収入を増やすことや資産運用など、中長期的な物価上昇に備える対応も検討することが大切です。

出典

総務省 消費者物価指数(CPI)結果

執筆者:伊達寿和
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員

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