34年ぶりの東京D開催なるか!? 『モンスターvs悪童』の行方を占うドーピング検査に井上尚弥は“厳格な実施”を希望「週1回でもいい」

日本人ボクサー初の偉業に向けてモチベーションは高まっている。

1月29日、ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)が都内で行なわれたWOWOW『井上尚弥出演!エキサイトマッチSP「井上尚弥vsタパレス」』の収録に参加。昨年12月26日にマーロン・タパレス(フィリピン)をリングに沈め、史上2人目となる2階級4団体統一に輝いた快挙を振り返った。

収録後に囲み取材に応じた井上は、5月6日に東京ドームで対戦が濃厚とされる元2階級制覇王者ルイス・ネリ(メキシコ)について「実力のある選手」と、そのポテンシャルを高く評価。「スーパーバンタム級でやる中ではターゲットのひとり。(ネリの印象は)力強くコンビネーションを打ってくる。思いっきりがいいし、打たれ強さ、度胸もある」と表現。もし拳を交えることになれば、警戒すべき相手だと認めている。

東京ドームでのボクシングの試合となれば、1990年2月に開催されたマイク・タイソン対ジェームス・ダグラス戦以来34年ぶり。まだ、井上自身も生まれていない。ネリとの対戦が正式決定ではないと前置きしたうえで、「ボクサーで東京ドームでメインを張れるのはモチベーションになる。あとは、そこを満員にできるかどうか。これだけデカい会場でやれることを嬉しく思いながらやりたい」と語り、大舞台でのタイトルマッチに胸を弾ませる。
ネリは過去、日本での試合でドーピング陽性(17年)や体重超過(18年)など、目に余る問題行動を起こし、日本ボクシングコミッション(JBC)から無期限の国内活動停止処分を受けている。

ゆえに”悪童”と称されるファイターとの対決には、否定的な意見も少なくないが、「日本での過去の因縁は自分にとって、そこを持ち込んで試合をしようという気はない」と井上はキッパリ。ネリ陣営が一連の問題について発言したり、自分との闘いに持ち込んだ場合は別だとしたうえで、「試合が決まれば、自分対ネリの闘いだと思いたい」と意気込みを示した。

また、ドーピング検査についても言及。「検査は抜き打ちで。今回に関しては厳格にいこうかなと(大橋秀行)会長と話している。週1回ぐらいでもいい」と断言。もしネリとのタイトルマッチが正式決定した場合には、徹底的な検査実施を求めた。

世界中のボクシング関係者が熱い視線を送るモンスターの次戦。無敵の日本人王者は来るべき闘う舞台を見据え、日々研鑽を積んでいる。

取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

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