『美術家たちの沿線物語 小田急線篇』世田谷美術館で 私鉄沿線史×アートで世田谷の美術を紐解くシリーズが完結

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世田谷美術館のある世田谷地域の美術を、私鉄沿線史から紐解く〈美術家たちの沿線物語〉シリーズ。2020年度の『田園都市線・世田谷線篇』、2022年度の『大井町線・目黒線・東横線篇』に続き、小田急線にスポットを当てた『美術家たちの沿線物語 小田急線篇』が2月17日(土)〜4月7日(日)、世田谷美術館で開かれる。なお『京王線・井の頭線篇』も本年度同時開催となり、併せてシリーズの完結となる。

まず同展の『小田急線篇』では、1927(昭和2)年に新宿〜小田原間で開通した小田急小田原線を取り上げる。世田谷の中央部を大きく東西に横切る小田急線。沿線には、演劇が盛んで劇場が集まる下北沢、小田原線開業に先立ち開発され、まもなく100年の歴史を迎える成城など、独特の文化的土壌を持つさまざまな街がある。

同シリーズでは沿線に住む美術家が最も多いエリアで、昭和初期に始まった美術家たちのグループもあった。例えば、経堂〜豪徳寺界隈にアトリエを持つ作家を巻き込んで親睦を深めた「白と黒の会」。「白と黒」とは、美術の原点でもあるデッサンを指すとも、各自持ち寄った新聞カットを指すとも言われ、その名には初心を大切にという思いが込められている。30余名のメンバーには佐藤忠良、舟越保武、向井潤吉などがいる。また、小説家で絵も描く武者小路実篤を中心に成城界隈で始まった「砧人会(ちんじんかい)」など、分野を越えて多数の作家たちが交遊した。

ほかに画家の髙山辰雄や横尾忠則、写真家の荒木経惟らの作品も紹介。出品作家数は50組を超え、シリーズ過去最多のボリュームとなる。

一方、4月7日(日)まで同時開催される『ミュージアムコレクションⅢ 美術家たちの沿線物語 京王線・井の頭線篇』では、明治の文豪・徳冨蘆花や洋画家の山口薫、建築家の石山修武などが紹介される。

さらに今回の2篇を含む全4回分の小冊子が、特製タトウ入りフルセットで無料配布(なくなり次第終了)。成城の街を巡る見学会などイベントもあるので、美術館の公式ホームページをチェックしてから出かけよう。アートファンのみならず鉄道や街歩きファンも必見だ。

<開催概要>
『美術家たちの沿線物語 小田急線篇』

会期:2024年2月17日(土)〜4月7日(日)
会場:世田谷美術館 1階展示室
時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
休館日:月曜(2月12日は開館)、2月13日(火)
料金:一般500円、大高・65歳以上400円、中小300円
公式サイト:
https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/special/detail.php?id=sp00217

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