豪中銀、政策金利据え置き 物価警戒し追加利上げ排除せず

[シドニー 6日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)は6日、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを市場の予想通り12年ぶり高水準の4.35%に据え置いた。

ただ、インフレ率が依然高すぎるとして、追加利上げは排除できないと指摘。物価圧力の低下を示すさらなる証拠が必要としている。

比較的タカ派なトーンを受け、市場の予想する利下げ開始時期は8月から9月に後ずれした。

今回の政策決定について、昨年第4・四半期のインフレ率が予想以上に鈍化したことから据え置き予想が大勢だった。

しかし中銀は声明で「最近の指標はインフレが鈍化していることを示しているが、インフレ率は依然として高い。理事会はインフレ率が持続的に目標レンジに向かうと確信する必要がある」と表明。

「インフレが合理的な期間内に目標に戻ることを最も確実にする金利の道筋はデータと今後のリスク評価次第だ。追加利上げの可能性は排除できない」と述べた。

中銀は、合わせて公表した金融政策に関する四半期報告で、インフレ率と経済成長率の予測を引き下げたが、需要超過の状態が続いているとの認識を示し、利下げを急がない姿勢を示唆した。

<金利リスクは均衡>

中銀は2022年5月以降、インフレ抑制のため、425bpの利上げを実施。昨年11月にも25ベーシスポイント(bp)利上げした。昨年第4・四半期のインフレ率は2年ぶり低水準の4.1%に鈍化したが、中銀の目標である2─3%を依然大幅に上回っている。

一方で、国内経済は鈍化しており、過熱していた労働市場にも緩みが出始めている。生活費の上昇と住宅ローンの高金利を背景に個人消費も低迷が続いている。

今回から始まった政策発表後の会見で、ブロック中銀総裁は、理事会は利下げを検討する前にインフレが着実に目標に向かっていると確信する必要があると説明。「何も排除していないし、いかなる判断も下していない。われわれはデータに導かれるべきであり選択性を維持する必要がある」と述べた。

CBAのオーストラリア経済ヘッド、ガレス・アード氏は、豪中銀の利上げは予想せず、最初の利下げが9月とみている。豪中銀が政策緩和を検討するには、弱い経済成長だけでなく、失業率が中銀の想定以上に上昇し、インフレ低下が加速する必要があると指摘した。

元中銀の高官で現在はウエストパックのチーフエコノミストであるルシ・エリス氏は、中銀理事会がまだ利下げを検討する状況にはないとの見方を示し、利下げの検討が可能になるのは9月ごろとの予想を維持した。

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