トヨタ、今期純利益初の4兆円台へ 販売増と値上げで5500億円上振れ

Maki Shiraki

[東京 6日 ロイター] - トヨタ自動車<7203.T>は6日、2024年3月期の連結業績予想(国際会計基準)を上方修正した。純利益は前年比83.6%増の4兆5000億円となる見通し。ハイブリッド車(HV)を中心に販売が好調。車の機能向上に伴う値上げが寄与し、従来予想から5500億円上振れる。純利益では同社初の4兆円台乗せで、過去最高となる見込み。

今期の営業利益は同79.8%増の4兆9000億円と従来から4000億円引き上げた。修正後の営業利益予想は、IBESがまとめたアナリスト20人の予測平均値4兆6120億円を上回る。

今期の前提為替レートは1ドル=143円(従来は141円)、1ユーロ=154円(同152円)に見直した。従来の営業利益予想から為替の影響で2350億円、値上げや販売増加などで2800億円それぞれ押し上げる。

今期の営業収益も17.1%増の43兆5000億円と従来予想から5000億円引き上げた。

宮崎洋一副社長は記者団に対し、前期は苦しい収益状況で半導体不足もあり上手く回せなかったが、今期は「実需と供給のマッチング率が北米を中心に各地域で上がっており、在庫の回転率が上がった」と説明。「値引き、インセンティブ(販売奨励金)をほぼ使わずに販売できている」と述べた。

競争が激化している中国市場については「決して楽観できる状況にない」とし、シェアは「かろうじて前年並みを維持している」との認識を示した。トヨタは安易に中国メーカーと同じ土俵で戦うのではなく、例えば、中国新興メーカーが持っていないエンジン技術を駆使したHVなどで「新しい戦い方を確立していく」と語った。

<グループ企業の不正が影響、日本販売計画を下方修正>

ダイハツ工業の不正に伴う仕入先や顧客への補償関連費用については、現時点で把握できる範囲の額を今回の見通しに織り込んだが、具体的な金額の公表は控えた。豊田自動織機<6201.T>の不正による補償関連費用は織り込んでいないという。

今期のグループ(日野自動車<7205.T>、ダイハツを含む)世界総販売台数は1123万台と従来の1138万台から下方修正した。北米は276万台へと従来の273万台から引き上げたが、日本は212万台へと従来から20万台減らし、ダイハツと豊田織機の認証不正による影響を反映した。

ダイハツ生産車は2月末までの出荷停止、豊田織機のディーゼルエンジン搭載車は2月10日までの工場停止の影響を織り込んだ。宮崎氏は、影響が長引けば「ここから台数はさらに下がってくる」と説明した。

(白木真紀)

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