レアアース価格、下半期に回復見通し EVや風力発電需要で

Amy Lv Mai Nguyen

[北京/ハノイ 5日 ロイター] - 複数のアナリストは5日までに、レアアース価格はすでに底打ちし、今年下半期に回復するとの見通しを示した。電気自動車(EV)や風力発電施設向けの需要や、主要生産国の中国が生産枠の拡大を縮小するとの見方から分析した。

上海金属市場(SMM)のデータによると、最も広く使用されているレアアースの一種、酸化プラセオジムの価格は2023年に34%下落。また、酸化テルビウムおよび酸化ネオジムの価格は1月にそれぞれ20年後半以来の安値に落ち込んだ。

一方、同社のアナリストは、永久磁石の材料である酸化ネオジムプラセオジム(NdPr)は23年に38%下落し、ほぼ生産コストの水準に近づいていることから、レアアースのさらなる価格下落は限定的と分析した。

国聯証券は先月、23年のNdPr世界市場は6600トンの供給過剰だったが、24年は800トンの供給不足に反転する見込みと報告している。

CRUグループのアナリスト、ウィリス・トーマス氏は「EV販売が伸び、風力タービンの生産が継続的に増加しており、需要が供給に追いついていることから、年末までに供給過剰はほぼ解消されるだろう」との見方を示した。

中国政府は昨年、06年以降で初めてレアアースの生産枠を設定し、24年の生産枠を前年比21.4%増の計25万5000トンと過去最高水準に設定した。

だが、中国の調査会社BAIINFOの調査報告によると、今年の国内のレアアース生産枠拡大率は10─15%と、より小幅なペースで伸びると予想されている。

ウッド・マッケンジーのアナリストは「採掘と分離精製の両方で、レアアースの生産枠はさらに増加すると見ているが、昨年ほどではない」と述べた。

米地質調査所によると、中国は世界のレアアース採掘量の70%、精製量の90%を占めている。生産枠制度を06年以降導入し、戦略的資源であるレアアースの供給を管理している。

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