妊娠中は鉄欠乏性貧血になりやすい!貧血を防ぐ食生活のポイントとは?【産婦人科医】

引用元:maroke/gettyimages

妊娠中期ごろから貧血になる妊婦さんは少なくありません。きちんと治さないと、出産時の出血で輸血が必要になることも。貧血の原因や対策について、産婦人科医の笹森幸文先生に聞きました。

おなかの赤ちゃんはどんな風に過ごしてる?おしっこはするの?産科医が解説

妊娠中は鉄欠乏性貧血になりやすい!

妊娠中は循環血液量が増えて血液が薄くなります。また、赤ちゃんと胎盤の成長のために、より多くの鉄分が必要になるので、鉄欠乏性貧血になりやすいのです。

妊娠時の鉄の1日の推奨量(18~49才)は、初期が9.0㎎なのに対して、中期~後期は16.0㎎と、約1.8倍に増えます。貧血と診断されていなくても、鉄をしっかりとれる食生活を心がけましょう。

貧血と診断されたことはある?

はい 22%
いいえ 78%

5人に1人が妊娠中期に貧血の診断を受けています。さらに妊娠月数が進むと、ますます貧血になりやすくなります。

※データ出典/2022年1月実施のインターネットアンケート(回答者:産後0カ月以上2年未満のママ n=69)

貧血を防ぐ食生活のポイント

貧血を防ぐには、効率よく鉄を摂取できる食生活が大切です。そのポイントは、以下の3つです。

①動物性タンパク質+ビタミンC

赤身肉、いわし、あさりなどの動物性タンパク質には、体内に吸収されやすい「ヘム鉄」が多く含まれています。あわせてビタミンCをとると、鉄の吸収率がさらにアップ!

②葉酸+ビタミンB12

緑黄色野菜などに多く含まれる葉酸と、ビタミンB12を一緒にとると、ヘモグロビンの生成が促されます。ビタミンB12は、さんま、しじみ、あさりなどに多く含まれています。

③タンニンと一緒にとらない

紅茶や緑茶に含まれるタンニンは、鉄の吸収を妨げるので控えましょう。

貧血と診断されると、鉄剤が処方されることも

血液検査でヘモグロビン値が11g/dl未満であれば、貧血と診断されて鉄剤を処方されることが多いでしょう。鉄剤の効果が出始めるのは、服用開始から2週間くらい。副作用で、便秘や吐きけが起こることがありますが、症状がつらい場合は、我慢せずに医師に相談しましょう。

貧血の薬を処方された?

はい 73%
いいえ 27%

貧血と診断された人の約7割が薬を処方されています。処方される薬は鉄剤が一般的です。貧血が軽度の場合は、食事指導や鉄のサプリメントをすすめられるだけの場合もあるようです。

※データ出典/2022年1月実施のインターネットアンケート(回答者:産後0カ月以上2年未満のママ n=69)

監修/笹森幸文先生 取材・文/栗本和佳子、たまごクラブ編集部

切迫流産や切迫早産の可能性も…!?妊娠中期に知っておくべき「注意すべき出血」とは【産婦人科医】

妊娠中期からなりやすい鉄欠乏性貧血。食生活や鉄剤で貧血が改善しても気を抜かないで。1日にとりたい鉄の量は、産後の授乳中も妊娠前より多くなります。貧血対策を意識した食生活は、産後も継続しましょう。

参考/『中期のたまごクラブ』2024年冬号「妊娠中期を安心に過ごすための見通し&やることのすべて」

●記事の内容は2024年1月の情報で、現在と異なる場合があります。

『中期のたまごクラブ』2024年冬号には、貧血について紹介している巻頭大特集「妊娠中期を安心に過ごすための見通し&やることのすべて」があります。

『中期のたまごクラブ』最新号はこちら!

© 株式会社ベネッセコーポレーション