シリア東部の米軍基地にドローン攻撃 クルド人勢力の戦闘員6人死亡

シリア最大の米軍基地でドローン(無人機)による攻撃があり、クルド人主体の反体制武装組織「シリア民主軍(SDF)」の少なくとも6人が殺害された。同組織が5日、明らかにした。

SDFによると、シリア東部デイル・アル・ズール県のアル・オマール油田にある特殊部隊の訓練施設が5日未明、片道飛行のドローンに攻撃され、隊員6人が殺害された。

同県の政府軍支配地域から、イランの支援を受けている武装勢力がドローンを発射したと、SDFは攻撃を非難。「攻撃元に対し適切に対応する権利」があると主張した。

SDFは、アメリカ主導の国際連合軍の支援を受け、シリア北東部で2019年にISを倒して以来、その大部分を制圧している。

一方、イランが武器、訓練、資金を提供しているとみられる武装組織「イラクのイスラム抵抗勢力(IRI)」は、4日に「アル・オマール油田のアメリカ占領軍の基地」をドローン攻撃したと主張した。

米軍はコメントを出しておらず、死傷者も報告していない。米軍は武装勢力「イスラム国(IS)」と戦う目的で、シリアに約800人の部隊を展開している。

アメリカは、ヨルダンの米軍基地へのドローン攻撃で米兵が殺害されたことへの報復として、イラクとシリアで先週末、イランが支援するグループを攻撃。それ以降に米軍関連施設が攻撃されたのは、これで2度目となった。3日にはシリアの「ミッション・サポート・サイト・ユーフラテス」でロケット弾攻撃があったと、米国防総省はBBCに認めた。死傷者や被害はなかったという。

イギリス拠点の監視団体「シリア人権監視団」は、SDF特殊部隊の7人が殺害され、18人が負傷したとしている。昨年10月中旬以降、シリアで米軍基地が武装勢力によって攻撃されたのは、今回で108回目だとしている。

IRIは、パレスチナ自治区ガザ地区でイスラエルとハマスの戦争が始まって以降にイラクやシリア、ヨルダンで起きた、米軍を標的にしたドローン、ロケット弾、ミサイルによる攻撃の多くについて、実行を主張している。パレスチナの人々との連帯を示すものだとしている。

一連の攻撃には、1月28日にヨルダンとシリアの国境近くにある米軍基地「タワー22」であった、米兵3人が殺害されたドローン攻撃も含まれる。

イランはこの攻撃への関与を否定したが、アメリカはイランがドローンを製造し、イラン革命防衛隊(IRGC)のコッズ部隊が武装勢力の調整に当たったとみている。

アメリカは2日、イラクとシリアの7つの施設でIRGCと関連武装組織が使用する85以上の標的を攻撃。ヨルダンの米軍基地攻撃への対応の「始まり」に過ぎないと警告した。

シリア人権監視団は、この攻撃で親イラン派戦闘員29人が殺害されたとしている。イラク当局は、同国で16人が殺されたとした。

中東地域の緊張が高まるなか、アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官はサウジアラビアを訪れた。ブリンケン氏の中東歴訪は、ハマスがイスラエルを攻撃した昨年10月7日以降で5度目となる。

ブリンケン氏は今週、エジプト、カタール、イスラエル、ヨルダン川西岸を訪問する。イスラエルの人質を解放し、紛争の激化を防ぐための、新たな協定の締結を当局者らに働きかける。

(英語記事 Drone attack kills six Kurdish-led fighters at US base in east Syria

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