ウィンダム・クラークの優勝をアシストしたAI製パター

新パターで勝利をつかんだウィンダム・クラーク(Ezra Shaw/Getty Images)

ウィンダム・クラークは、「AT&Tペブルビーチプロアマ」での土曜に、ゴルフ界で最も歴史的なコースのひとつ、ペブルビーチGLでコースレコードの「60」をたたき出し、歴史にその名を刻んだ。そしてその翌日、カリフォルニアを激しい嵐が襲ったことで、大会の最終ラウンドは中止となった。

もしかしたら、記録破りのパフォーマンスを見せた際、クラークが新しいパター、そして新しいドライバーを使用していたことに、気が付かなかった人もいたかもしれない。

遠目で見ると、クラークは今も2023年の「全米オープン」を制覇した際に使用していたオデッセイ ジェイルバードパターに酷似したマレット型パターを使っているように見えるが、実際のところ、彼は真新しいオデッセイAiワン ジェイルバード クルーザーを使用しており、「全米オープン」優勝パターを比較すると、このパターにはかなり大掛かりな変更がなされているのである(クラークとリッキー・ファウラーが14年にリリースされたジェイルバードの人気を再燃させたのは以前報じた通りであり、これは23年のギア10大ストーリーの一つにもなった)。

この新しいパターは、彼の新しいパッティングストロークに合うように作られている。

パッティングが絶好調だった(Ezra Shaw/Getty Images)

最近、クラークはパッティングのヘッドインストラクターであり、ニコライ・ホイゴーやマット・ウォレスといったPGAツアーの選手たちを見ているパッティングコーチのマイク・カンスキーと連携してパッティングの練習に取り組み始めた。

クラークによると、彼は友人を介してカンスキーと知り合い、「AT&Tペブルビーチプロアマ」前の日曜に、数時間にわたり、ともにパッティング練習に取り組んだとのこと。その練習セッションにて、クラークとカンスキーは、ぴったり合うパターを求めて9種類をテストした。

「これは僕のチームをたたえるべきだろうね。僕はマイク(カンスキー)という名の男と仕事をしたんだ。今週会ったばかりでね。僕は日曜の早めの便で(ペブルビーチに)入って、彼と3、4時間一緒に過ごした。練習グリーンに9本のパターを持ち込んだ。僕はリッキーや僕が使ってきたような感じのパターを使っていた。あれは昨年から使い始めたのだけど、僕は全米オープン以降、グリーン上でかなり苦心してきたんだ」と、クラークは土曜に歴史的なラウンドを回り終えた後に述べた。

その9本のパターのうちの1本がオデッセイの新しいAiジェイルバードパターであり、これはクラウンにアライメントラインが入っていないモデルとなっている。ちなみに、クラークがこれまで使用していた「全米オープン」優勝パターには、小さな3つのドットがクラウンに刻印されていた。

2023年「全米オープン」優勝時に使用していたパター(GolfWRX)

また、23年のクラークは39インチのパターを使用していたが、ペブルビーチで使った新パターは、この週に彼が採用した新しいクロスハンドグリップのスタイルに合わせて、35インチと短めになっていた。

「つまり、僕はあれこれパターを持ち込み、最終的には、ラインの入っていないパターへ変更することに落ち着いたんだ。(パターを)少し短めにして、(グリップを)コンベンショナルからクロスハンドに変えた。色々と大きく変えたけれど、気持ち的に何か変更が必要だと感じながらパットしているような状況だったので、文句を言えないくらい、あるいはこれまでの大会と同じような心持ちにならないような、完全に異なる物への変更が必要だったんだ。だから、かなり変わったけど、僕の中で一番大きな違いは、パターにラインが入っていないところだね」とクラーク。

パターの長さ、そしてクラウンからラインやドットを排除した部分以外で異なる点は、クラークの新しいヘッドには、人工知能により設計されたフェースインサートが入っているところだ。ゴルファーに対する寛容性を高め、パットにおけるスピードのコントロールを向上させるため、オデッセイの新シリーズであるAI-ONEパターには、部分によって厚みの異なる新時代のフェースインサートが用いられている。

クラークの新1W「タイトリスト TSR3」(GolfWRX)

クラークが今週のペブルビーチで行った変更は、パターだけに留まらない。彼はドライバーを20年にリリースされたタイトリストTSi3ドライバーから、23年後半にリリースされたタイトリストの新しいTSR3 ドライバーへ変更したのである。クラークはTSi3ドライバーを使用して、23年に「ウェルズファーゴ選手権」と「全米オープン」を制覇している。しかしながら、彼は同年の終盤以来、TSR3とTSi3を取っ替え引っ替えしてきた。クラークはTSR3に落ち着いたのだが、この選択は「AT&Tペブルビーチプロアマ」で奏功した。

これに加え、彼は2週間前の「ザ・アメリカンエキスプレス」で、ウェッジをボーケイ SM9から、タイトリストが新しくリリースしたボーケイデザイン SM10へアップグレードしている。

ペブルビーチで週が明けた当初、クラークのギアに関する方程式は少々込み入ってはいたものの、結果的には勝利とペブルビーチの新コースレコードという解答が導き出されたのである。

クラーク&カンスキーのデュオにとって、そしてクラークのグリーン上での新スタイルにとって、これ以上ない船出となった。

(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)

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