「返金!返金!」「メッシはどこだ?」アルゼンチン代表の英雄の“欠場”に香港ファンからブーイングの嵐! 殺伐とした雰囲気に大手CNNも異例の反応

ベンチで過ごすスーパースターの姿にファンの怒りは頂点に達した。

現地2月4日、米メジャーリーグサッカーのインテル・マイアミが香港で香港選抜との親善試合に臨んだが、アルゼンチン代表FWリオネル・メッシは出場せず。ピッチに立つことなく、試合を終えた。

大歓声で始まった試合だが、スーパースターのプレーを楽しみにしていた地元ファンは次第にイライラが募っていった。時計が進むにつれて「メッシが欲しい」という声がちらほら出て、次第に「メッシはどこだ?」という声に変わっていき、メッシ以外の選手が交代するたびにスタジアムにはブーイングが鳴り響いた。そして試合終了後には、ファンの怒りがついに爆発。4万人近い観客から激しい野次が飛んだ。

無論、地元ファンの怒りは想像に難くない。一昨年のカタール・ワールドカップ(W杯)でアルゼンチン代表を36年ぶり3度目の優勝に導いた英雄をひと目見ようと、ファンは約1万9000円以上のチケット代を支払っていた。だが、メッシがプレーしないことが明らかになるにつれ、ファンは「返金!返金!」「メッシが欲しい」などと絶叫。チームの共同オーナーであるデイビッド・ベッカム氏に怒りの矛先が向き、聞くに堪えない野次とブーイングは最後まで鳴り止まなかった。
スタジアムの殺伐とした雰囲気には海外メディアも唖然。大手国際ニュース番組『CNN』のアジア版は「リオネル・メッシの欠場がブーイングに火をつけ、香港でのインテル・マイアミ戦で払い戻しを求める声が上がる」とトップニュースで報じ、異例の反応を示している。

同局のアンドリュー・マクニコル記者は「アルゼンチンのスーパースターが日曜日に行なわれた親善試合でピッチに立つことができず、香港の何万人ものサッカーファンは落胆した」と説明。「試合は圧倒的な歓声と歓喜に包まれて始まったが、のちにこの4万人収容の香港スタジアムはブーイングと返金を求める声で埋め尽くされた」と、騒然としたスタジアムの様子をリポートした。

マクニコル記者は「ファンにとってはスコアなどどうでもよく、それよりもW杯チャンピオンであり、バロンドールを8度も受賞しているメッシがピッチに立つことの方が重要なのだ」と当然のように指摘。「香港政府でさえ、メッシが試合に出場しなかったことに失望している」と言及しながら、「イベント主催者はファンに謝罪する義務がある」と説明責任を求めた。

インテル・マイアミのヘラルド・マルティーノ監督によれば、メッシは鼠径部(太もものつけ根のくぼみから少し上にある三角状の部分)を痛めており、チームドクターは「出場は危険」と判断し、出場を回避した。なお、試合はインテル・マイアミが4-1で香港選抜に勝利を収めたが、後味の悪さだけが残った。

構成●THE DIGEST編集部

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