「こんなもの持ってくるやつがいるんだ」 という声が… ペットと暮らすため車庫で避難生活 実証実験行う市も  

能登半島地震でもペットを避難所に連れていくことができず、自宅に留まった人がいましたが「家族同然」のペットと一緒に避難することを想定した実証実験が、愛知県尾張旭市で行われました。

能登半島地震では、一時1万2000人以上が避難した輪島市。市内にはペットと同じ部屋で避難できたところも。

(避難者)
「(犬と)離れられない。大事な子やね」
「一緒にいられるだけラッキー」

被災後もペットと一緒に過ごせるのは飼い主にとって理想的な避難の形ですが、そう簡単なものではありません。

自宅が倒壊した輪島市の畑中優実さん(54)。ペットのウサギとハトと一緒に暮らすため車庫で過ごしています。

(畑中優実さん)
「避難所にいったら、リスのかごがポンと廊下に出されていて、他の人たちが『こんなところにこんなもの持ってくるやつがいるんだ』とか言っていたので、これは(連れて行くのは)無理やなと思った」

「ペットは家族」と考える被災者にどう対応するか。改めて課題が浮き彫りになる中、2月3日、尾張旭市で飼い主とペットが同じ部屋で避難することを想定した実証実験が行われました。

実証実験で見えてきたのは、排泄物の処理など「衛生面」の改善

(尾張旭市・柴田浩市長)
「落ち着いてくると、ペットを飼っている方の避難が、非常に重要な問題だということがクローズアップされてきた」

犬や猫などの飼い主9組が参加し、まずはそれぞれが個別のテントに入りました。テントのファスナーは常に半分ほど閉めた状態で、散歩に行くタイミングもずらすなどペット同士が接触し、トラブルが起きないよう工夫しました。

そしてケージに入れたペットを残し、飼い主がトイレに行くなど様々なケースを試して、改善点を見つけていきます。

(参加者)
「避難してくるまでが大変だなというのがあって、こういう物(ケージなど)を運んでくるのがすごく大変だなと思った」
「実際に体験できて良かった。見通しが持てるので。同行避難という言葉はよく聞くが、同室避難はあまり聞かない」

そして、実証実験ではペットの排泄物の処理など「衛生面」で改善が必要なことが見えてきました。

(実証実験を指導・人と動物の共生センター 奥田順之理事長)
「水を飲み終わった後、こぼしたらどうするかとか、汚れた時に清掃するというところもあまり資源がない中でやらなければいけないので、そこをどうするかを踏み込んで考えとかなければいけない」

尾張旭市は実証実験の結果をもとに、ペットと一緒に避難できるよう具体的な検討を進める方針です。

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