高級「ガンプラ」次々”予約済”のワケ ガンプラ塗装技術を買われて自動車販売会社に入社した男性も…「プラモデルって正解がない」

少子化の波もなんのその、人気アニメ「機動戦士ガンダム」のプラモデル、略してガンプラの売り上げが今、伸びています。一時は少子化などからプラモ離れが言われていましたが、今、数万円の品も人気となっています。
そのワケとは。

稲田明伸さん
「これがパーフェクトグレードになります。」
(Qちなみにおいくらでした?)
「2万2000円になります。妻には内緒で。ははは…。」

最高級のガンプラを見せてくれたのは島根県松江市の稲田明伸さん53歳。
一抱えもある箱には膨大な部品が入っていてその数およそ1000点です。

稲田明伸さん
「今、開けてみてこんなに多いのかと。ちょっとびっくりですね。(製作)計画ですか。取り合えず2年位ですかね。」

稲田さんは各地で個展を開くほか、勤め先の自動車販売会社にも作品が並ぶガンプラの第一人者です。

40年以上前のテレビアニメスタートのころ、その洗礼を受けたいわゆるガンダム世代が社会の中心になった今、こうした高級ガンプラが人気を集めているのです。

ベニヤ模型 堀江秀樹 社長
「今、50代位の方が非常に多いんですけど、そういう方を中心に、やっぱり簡単にできるものではなくてですね、しっかり作り込みたいっていう。」

松江市の老舗模型店。2万円を超えるものがいくつも予約済みになっています。
日本玩具協会の調べで、昨年度の国内玩具市場の売上高はガンプラなどの好調を受け、2001年度以降で過去最高を記録、その理由の1つは、コロナ禍でした。

ベニヤ模型 堀江秀樹 社長
「巣ごもり需要という所で皆さんがお家で時間をつぶされるのに。一気にプラモデルが見直されたと。」

ガンプラは長い歴史の中で改良が重ねられ完成後の大きさやディテールなどで6種類がラインナップされています。
それを稲田さんは従来にない独自の表現で仕上げます。

稲田明伸さん
「自分らしさを出すには逆をいってツヤツヤのテカテカにしてやろうと。」

ガンプラの塗装技術を買われて入社したというだけに金属にしか見えません。

NR-C 神庭幸治 取締役
「(ガンプラがあると)やっぱりお客様との会話が弾みますね。あのー、ガンダム世代、あとプラモデルを昔作ってたっていう方の話も聞けたりとか。」

そんな稲田さんにとっても憧れの超高級ガンプラ。自分の持つ技術を総動員して組み立てるつもりだそうですが、一方で高いものだけがベストではないともいいます。

稲田明伸さん
「プラモデルって正解がないというか。安いからといって全然楽しくないわけでもなく、逆に安いからこそいろんな加工ができる。高いと部品も多いので、長期楽しめる。」

「ぱちん、ぱちん。」

この日、稲田さんは親子でガンプラを作っていました。

稲田明伸さん
「白い部品は白い部品で切って行って、ここに溜めて行って。」

親子で楽しめるという点も歴史ある作品ならではといえ、これが少子化でパイが減る中でも人気を保てる秘密といえそうです。

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