廃炉向け省人化ロボット開発へ エイブルと福島県双葉町が企業立地協定 2026年の操業開始目指す

協定書を交わす伊沢町長(左)、佐藤社長

 プラント建設会社のエイブル(本社・福島県大熊町)は双葉町の中野地区復興産業拠点に進出し、東京電力福島第1原発事故の廃炉用ロボットの開発、製造に取り組む。廃炉事業に関わってきた知見を生かし、作業の省人化に向けたロボットの開発を進める。開発・製造拠点を設け、2026(令和8)年4月の操業開始を目指す。6日、双葉町と同社が企業立地協定を結んだ。

 約1.5ヘクタールの敷地に開発・製造拠点「本館」を新設する。人工知能(AI)を搭載し、放射線量が高い廃炉の現場で使用できる遠隔操作ロボットの開発を想定している。ロボットの展示室も置き、子どもたちが先端技術に触れられる場も生み出す。同社が浪江町の請戸漁港への設備設置を検討している波力発電の研究も行う。建物は太陽光など再生可能エネルギーを活用し、エネルギーの年間収支を実質ゼロにする「ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング(ZEB=ゼブ)」を導入する。

 敷地内には防災設備となる建物も整備する。水素燃料電池や食料などを備蓄し、災害発生時は避難所として利用できる。平時には葉物野菜を手がける植物工場として役立てる計画だ。総事業費は約20億円。本館、防災設備とも来年4月に着工する見通し。約20人の雇用を予定している。

 協定締結式は町役場新庁舎で行われ、伊沢史朗町長と佐藤順英社長が協定書を交わした。伊沢町長は「地域一体となって共に歩みを進めることを楽しみにしている」と期待した。佐藤社長は「新しいまちづくりに貢献したいという志高い若者らを集め、双葉郡や福島の元気を双葉町から発信していきたい」と決意した。

 エイブルは1991(平成3)年に設立。現在は原発事故に伴い、本社機能を広野町に移している。

エイブルが双葉町に整備する廃炉用ロボットの開発・製造拠点や防災設備の完成イメージ図

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