棺のふたに「突起」見つかる 富雄丸山古墳 木棺が極めて良好な状態で残る

奈良市にある国内最大の円墳・富雄丸山古墳の発掘調査で、木の棺のふたに突起が確認されるなど、棺が極めて良い状態で残っていることが分かりました。

4世紀後半に造られたとされる富雄丸山古墳では、墳丘の「造り出し」と呼ばれる部分からこれまでに出土例のない「だ龍文盾形銅鏡」と、古代東アジア最大の「蛇行剣」が見つかり話題になりました。2023年12月から発掘調査が再開され、6日は、棺を覆う粘土槨と木の棺=木棺の構造についての調査成果が発表されました。

木棺はコウヤマキをくり抜いて作った長さ5.3メートル以上の「割竹形木棺」で、被葬者や副葬品を収める身の部分とふたの部分に分かれています。南東側の棺のふたには縄をかけて密閉するためとみられる「縄掛突起」が見つかり、この突起が現存する状態で確認されるのは初めてだということです。また、棺の端には円形の小口板、内部には仕切板が立てられている構造も明らかになりました。なお、仕切板が垂直に立った状態で見つかるのは初めてだといいます。

奈良市教育委員会は棺が極めて良好に残っていることについて、これまでに出土している「だ龍文盾形銅鏡」などの金属イオンが木棺の腐食を防いだなどとみています。

奈良市教育委員会 文化財課・鐘方 正樹さん

「木棺そのものが残っていたことによって、従来 推定していたものが本物で研究できる。有機質を含めて、いろんな副葬品が残されている可能性がありますので、慎重な調査を行っていきたいと思います。」

7日以降は残ったふたを取り上げる作業を行い、棺内部の調査は2月中旬から本格化する予定です。

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