救急車で搬送されて「軽症」だったら7700円 これ何の費用? 迷った時は「119番」以外の相談窓口も 

三重県松阪市ではこれから、救急車で病院に搬送されても重症でなければお金がかかる場合があるんです。一体どういうことなのか、詳しく見ていきましょう。

今年の6月から、松阪市の3つの総合病院に救急搬送された患者のうち、入院が必要でない「軽症」と判断されると、救急車を呼んだ場合、診察代に加えて7700円かかるというものです。

これはどういったお金かというと「選定療養費」という費用になります。こういった救急搬送者から費用を徴収している病院は、全国では松阪市以外にもあるということなんです。

では、この「選定療養費」というのは一体どういうものなのか。国が定めているもので、病床200床以上の総合病院をかかりつけ医からの紹介状なしで受診する場合に徴収されるものなんです。

これまで救急搬送の場合は対象外だったんですが、軽症で入院する必要なしと判断されれば、6月からこの選定療養費を徴収されることになります。救急車の利用料として新たに設定したというわけではないんです。

ただ、入院の必要がない「軽症」と判断されても、医師がこれは救急車を呼ぶべき、緊急だと判断した場合は、これまで通り徴収されないケースもあるということです。

救急車を呼んだらこれまで免除されていた、選定療養費を徴収することになったのはなぜなのか。これは救急医療を守るためなんです。

判断に迷ったら医師らにつながる“電話サービス”を

松阪市の現状を見てみると、去年の救急車の出動件数は1万6000件余りで、過去最多でした。20年前から倍増しているそうです。

全国で救急搬送された人の内訳を見てみると、入院が必要ない軽症の方が全体の44.8%もいたということで、医療機関や救急隊の体制が逼迫する一因になっています。

名古屋大学病院の山本医師は「適切な人に医療が行くために今後広がる可能性がある。ただ、救急車を呼ぶことをためらわないで」ということもお話されています。

救急医療は守らなくてはいけませんが、一般の私達では救急車を呼ぶべきかどうか非常に難しい判断の場合もあります。そういった時は、ぜひ電話サービスを利用していただければと思います。

「#7119」の番号にかけると、いろいろ案内をしてくれるというもので、全国でいくつかの自治体がこのサービスを取り入れてます。東海地方では、岐阜の方が利用できます。電話をすると、医師らが症状を聞き取って緊急性を判断してくれます。「緊急性高いですよ」ということになれば、ご自身で救急車を要請してください。緊急性が低かったら、医療機関を案内してくれるということです。

愛知と三重には、救急医療情報センターというものがあり、愛知は「052-263-1133」三重は「059-229-1199」です。ご自身で電話をかけると、今すぐ診てもらえる病院を紹介してくれます。その後、自分で病院に電話し、そこで症状を話して「緊急性が高い。救急車を呼んでください」などと案内され、自分で救急車を呼ぶという仕組みになっています。

岐阜で「#7119」を取り入れたのは、去年の10月。3か月間の相談件数は5700件ほどあり、その中で救急車を実際に進めた「緊急性あり」と判断されたのは410件だったということなんです。9割以上が緊急性がないと判断されています。

不要な搬送を避けて救急医療を守ることは、まわりまわっていつか自分自身を守ることにも繋がります。迷ったら、まずはかかりつけ医や相談窓口を利用するようになさってください。

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