関西生コン事件で大津地裁 ビラまきで起訴の7人は無罪、湖東ブロック2被告は刑猶予

大津地裁

 生コンクリートの調達を巡り、建設会社の業務を妨害したとして威力業務妨害などの罪に問われた全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(関生支部)の組合員9人の判決公判が6日、大津地裁で開かれ、畑山靖裁判長は7人について無罪を言い渡した。

 49歳と53歳の2被告はそれぞれ懲役2年6月、執行猶予3年(求刑懲役3年)と、懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役2年)とした。両被告は控訴を検討中。

 判決によると、2被告は2017年3月、滋賀県内の工事現場で、施工主の大阪の建設会社に対し、生コンの供給元を関生支部と提携関係にある湖東生コン協同組合の加入社に変更させようと、工事の不備を指摘し、業務を中断させた。

 畑山裁判長は、未加入社を協同組合に加入させる「アウト対策」が重要な課題とされてきたとした上で、「(両被告は)些細(ささい)な不備の指摘を執拗(しつよう)に繰り返し、恐喝や威力業務妨害の実行行為に当たる」と判断。「正当な組合活動」とする弁護側の無罪主張を退けた。

 一方、大阪の建設会社の周辺で工事の不備を指摘するビラをまいたとして起訴された7人については、湖東ブロックに所属していた両被告と異なり、東大阪や神戸などのブロックに所属していたことから、「アウト対策の目的で同社を対象として(不備を指摘する)活動が行われていたことを認識していたとはいえない」などと判断。故意や共謀があったとは認められないとし、無罪とした。

 判決後、弁護団の太田健義弁護士が会見し「無罪は歓迎するが、憲法で保障された正当な組合活動だったという弁護側の主張に対し、憲法を踏まえた判断はされなかった」と話した。

 関生支部を巡る裁判は京都、大阪などの各地の裁判所で開かれ、無罪判決が示されたのは5件目。

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