【連載】箱根事後特集『萌芽(ほうが)』 第1回 1区 間瀬田純平

2年連続で東京箱根間往復大学駅伝(箱根)の1区を任され、昨年を上回る区間12位の結果を残した間瀬田純平(スポ2=佐賀・鳥栖工)。しかし、間瀬田が語ったのは流れを作れなかった悔しさだった。箱根を終えた今の心境、そして今シーズンに懸ける思いに迫る。

※この取材は1月12日にオンラインで行われたものです。

「まだまだ力不足」

1区を走る間瀬田

――まず、箱根のレース前についてお聞きします。1区の出走を言い渡されたのはいつ頃でしたか

出走自体は1週間前に言い渡されたのですが、練習などで花田監督(花田勝彦駅伝監督、平6人卒=滋賀・彦根東)と話した時に、1区で起用される雰囲気は感じていました。

――出走が決まった時の心境はいかがでしたか

今年は練習も積めていて自信を持っていたので、区間賞争いをしたいと思っていました。

――出走前に家族からメッセージをもらいましたか

メッセージなどは特になかったのですが、「頑張れ」ということと、「中継所の手前で今年も応援しているから」ということは聞いていました。

――主力選手に体調不良者が出ている状況でしたが、チームの箱根前の雰囲気はいかがでしたか

北村さん(北村光、スポ4=群馬・樹徳)、大志さん(伊藤大志次期駅伝主将、スポ3=長野・佐久長聖)がインフルエンザになってしまって、自分もこのままではまずいという危機感がありました。チームとしても少し緊張感のある雰囲気でレースを迎えました。

――当日変更で駒大の篠原倖太朗選手や駿河台大のスティーブン・レマイヤン選手などスピードのある選手が入ってきましたが、どのような印象を持っていましたか

篠原さんや駿河台大の留学生が来たことで、これはハイペースになるだろうなと思っていました。

――特に意識していた他大学の選手はいましたか

花田さんからは「城西大と国学大あたりがうちと競る展開になると思うから」と言われていました。国学大は前にいたのですが、集団には城西大、創価大もいたので競る可能性のある選手たちをマークしていました。

――改めて1区のレース全体を振り返っていかがですか

ハイペースの展開で、先頭の留学生に駒大、青学大、国学大がついていくかたちになりました。自分自身は第二集団で様子をうかがっていましたが、その中で結構余裕を持って走っていました。今年はかなり自信もあったのでこのままいけば上位でつなげられるなと思っていたのですが、15キロ過ぎぐらいでハイペースに対応しきれなかったこともあり足にしびれが出てきてしまいました。何とか粘ってはいたのですが、六郷橋で前のペースが上がった時に、集団から遅れる結果になってしまいました。

――沿道の応援はいかがでしたか

昨年も制限がある中で声援をいただいてすごいなと思っていたのですが、今年は特にスタート直後の沿道の応援がとても盛り上がっていたのが印象に残っています。1区はほとんどの場所で応援を受けている状態だったので、常にパワーをもらっていました。

――鶴見中継所では同期の山口智規(スポ2=福島・学法石川)選手とのタスキ渡しとなりましたが何か言葉を交わされましたか

自分は何も言えなかったのですが、山口は「任せろ」と言ってくれました。本当は山口に上位で渡したかったのですが、第二集団からも遅れるかたちだったので申し訳ないなと思っていました。

――2区の山口選手の走りを見ていかがでしたか

自分が遅れた分を山口が取り戻してくれたのでとても感謝しています。2区から一気にレースの流れが変わったので、本当に彼が早稲田のゲームチェンジャーとしての役目を果たしていたと思いました。

――昨年から2年連続での1区出走となりましたが、昨年のレースの経験が生かされた部分はありましたか

昨年は練習も十分に積めておらず、ついていくことだけで精いっぱいでしたが、今年は六郷橋がポイントになると事前に頭に入れつつレースを進められました。六郷橋の下りを利用して徐々に前との差を詰めていくことが昨年に比べたらできたのではないかなと思いますが、遅れてしまったところはまだまだ力不足だと感じています。

――箱根での収穫と課題はありますか

これまでハイペースの展開でレースが進むことがほとんどなかったのでハイペースの展開を経験できたことは一つの収穫だと思います。ただ、その経験不足が今回の遅れにつながったと思うので、ハイペースに対応できるような体作りをする必要があると思いました。

――箱根でのチームの結果を振り返っていかがですか

総合順位は7位で最低限シードを取れたので安心した気持ちはありました。ただ、優勝の青学大との差を見てみると15分ぐらい差がありますし、昨年の1番最初に立てた3大駅伝3位以内という目標には届いていません。これから優勝を目指していく中で、駒大や青学大と競るためには10分以上の差を詰めないといけないので、まだまだレベルアップしていかないといけないと感じました。

今シーズンは長い距離で勝負を

昨年、東京六大学対校の1500メートルで優勝した間瀬田

――解散期間はどのように過ごされていましたか

解散期間は成人式もあったので、中学校の友達など懐かしい人たちにも会って楽しみました。都道府県対抗駅伝(天皇盃全国都道府県対抗駅伝)も控えているので、ある程度リラックスしつつもしっかり練習しました。

――最近の練習での調子はいかがですか

箱根直後は、疲労と足を痛めてしまったこともあってあまり走っていなかったのですが、都道府県対抗駅伝に向けて最近練習し始めて状態も少しずつ良くなってきました。

――新チームの雰囲気はいかがですか

昨日、全体ミーティングを行って今年のチームの方針や目標を話し合って決めました。今年は1人1人が自覚を持ってやっていこうということも話し合って、今のところとても良い雰囲気だと思います。

――今シーズンからはチーム内でも上級生の立場になりますが、心境や意識の変化はありますか

4年生が中心にチームを引っ張ってくれると思うのですが、やはり自分たち3年生も上級生という立場で4年生に負けないぐらいチームを押し上げていかないといけないと思っています。自覚を持ってこの1年間やっていきたいです。

――今後のレース予定を教えてください

1月21日に都道府県対抗駅伝に出て、2月中旬に唐津10マイルロードレースに出る予定です。

――トラックシーズンに向けて重点を置いて練習したいことはありますか

来年度からのトラックシーズンでは5000メートル、1万メートルを中心にやっていくことを花田さんと話し合って決めました。長い距離を走れるようにスタミナを強化することは、この期間でしっかりやっていきたいと思っています。

――そうなると、これまで主戦場だった1500メートルよりも5000メートル、1万メートルを中心にレースに出走することになりますか

東京六大学対校などの対校戦では1500メートルに出るかもしれないのです。ただ、1500メートルに出てもそれを5000メートル、1万メートルに生かしていきたいので、主戦場は5000メートル、1万メートルになると思います。

――これまではトラックシーズンで1500メートルを中心に走る中で、長い距離を走る駅伝シーズンへの適応に難しさはありましたか

トラックシーズンは1500メートルを走るためのスピード練習を中心に行っていたので、夏合宿でいきなり長い距離を踏んだり、距離走をやったりすると体がついてこないこともありました。 今年は5000メートル、1万メートルを中心に走るので、駅伝シーズンへの適応も昨年や一昨年に比べて、やりやすくなるのではないかと思っています。

――来年の箱根では、また1区を走りたい気持ちはありますか

特にこだわりはありません。任せられた区間はどこでも走れるように準備していきたいと思っています。

――最後に今シーズンのトラックと駅伝での目標をお願いします。

トラックでは1万メートルで28分30秒切り、駅伝では3大駅伝区間3番以内が目標です。

――ありがとうございました!

(取材・編集 植村皓大)

◆間瀬田純平(ませだ・じゅんぺい)

2004(平16)年2月17日生まれ。172センチ。佐賀・鳥栖工高出身。スポーツ科学部2年。第100回箱根1区1時間1分53秒(区間12位)。ほとんどが母校、鳥栖工高出身の選手で構成されている都道府県対抗駅伝佐賀代表チームについて、「とても親しみやすい雰囲気」と語る間瀬田選手。中でも2学年先輩の明大、杉選手は尊敬する存在だそうです!

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