大阪の企業が手掛ける推し活グッズ、オタ心に刺さるのはなぜ?

アクリルスタンドやぬいぐるみ、缶バッジなど、令和の現代、キャラクターグッズの形態は実にさまざま。グッズが多様化するにつれ、大切な「推し」のグッズを綺麗に保管し、かつ可愛く飾りたい! と願うのは、推し活をする人にとっての共通の思いではないだろうか。

「おすわりぬいぐるみバッグ」(2570円)はカバンに取り付けることも可能

そんななか、オタクたちから注目を集めているのが大阪のメーカー「ホークアイ」(大阪市旭区)のブランド「プレデコ」による推し活グッズだ。外付けタイプの「痛バッグ」や、ぬいぐるみ2体を仲良く収納できる「ぬいバ(ぬいぐるみバッグ)」など、ほかにはないグッズがSNSや口コミで話題に。細かな部分にこだわったグッズはどうやって生まれているのか。同社の開発担当・塩見さんに話を訊いてみた。

■ 開発担当者の「欲しい!」が原動力に

──さっそくなのですが、「プレデコ」って一体どういった意味なんでしょう?

みなさまの「飾りたい」「収納したい」という思いがこもった「ディスプレイ」を「デコレーション」したいという意味をこめ、「プレデコ」と名付けました。

──だからこそ「収納」と「飾る」を兼ねた商品が多いんですね。楽天のショップを拝見すると、推し活グッズがかなり豊富ですが、こういったグッズは現在何点あるのでしょうか。

ショップに登録している販売中の商品数は45点です。カードやチケット、シールなどの薄く小さい物の収納からぬいぐるみバッグといった大きなものまで取り扱っています。

──推し活グッズだけでそんなに種類があるとは。「ホークアイ」はもともと、プラスチックの加工品などを扱う企業ということですが、まったく系統が違う「プレデコ」はどうやって始まったのですか?

弊社では、2008年よりネットショップとして「ホークアイ楽天市場店」を運営しています。こちらは腕章・ネームタグなどが主流ということでターゲット層が異なりますし、推し活グッズを取り扱うということで、別店舗である方が商品を見つけてもらいやすいのではないか・・・という理由で、店舗名と商品を新たにし、「プレデコ」として2021年4月にオープンしました。

カードゲームで活躍する「リングデッキ(レギュラー)」(400円)。SNSではなく現場で広がっていったとか

──なるほど。では「プレデコ」のなかでも特に反響が多かった商品があれば教えてください。

カードゲームで使うカードを、リフィルで保管したまま使用できる「リングデッキ」シリーズは反響が多かったグッズのひとつですね。当時、バーコード読み取り型アーケードゲームをプレイしていた際、「あったら便利だな」と感じたことから企画しました。

販売を開始すると、お客さまが実際に現場でお使いいただき、それをご覧になった方がさらに購入して・・・という口コミ形式でつながり、結果としてたくさんの方に購入していただきました。ショップへのコメントも多く、「使いやすい」と弊社に直接お電話で感謝を伝えてくださった方もいらっしゃいました。

──塩見さんの実体験から生まれた商品なんですね。ほかにも、お座りポーズのぬいぐるみをそのままディスプレイできる「おすわりぬいぐるみバッグ」もSNSで話題になっていました。

こちらは、反響のなかに「2体入るペアタイプも欲しい」という声もあったことが印象的でした。以前から「ぬいぐるみバッグシリーズ」でペアタイプを発売しているのですが、今回もおすわりバッグでペアタイプを企画していたため、「欲しい」という声があったことで、「自分の欲しいもの=みんなも欲しい」なのだな、と再確認できました。臆せずに「欲しい」と感じたものを企画していこうと、スタッフ陣の自信につながりましたね。

「おすわりぬいぐるみバッグ」(2570円)

──商品を拝見していると、かなり細かな用途に応えるようなグッズが多いですよね。商品を開発するにあたって、リサーチやユーザーへの聞き取りはしているのですか?

基本的には、企画担当が「欲しい」と思ったものを扱っています。開発の段階で類似商品が無いかリサーチをすることはありますが、お客さまへ聞き取りなどは特に実施していません。「おすわりぬいぐるみバッグ」についても、私自身が所持していているおすわりぬいぐるみを飾りつつ、持ち運べるバッグが欲しいと感じたため企画しました。

──私もオタクなので、グッズを収納・飾るうえで「かゆいところに手が届く」グッズが多いなと感じました(笑)。やっぱり、開発担当の方に「推し活」をしている方は多いのでしょうか。

実は企画担当で「推し活」をしているのは私だけなのですが、アニメ、ゲーム、漫画、舞台、ミュージカル、ライブなどさまざまな分野で推し活、いわゆる「オタク」をしております。推し活・オタ活がより豊かになれば良いなと思っているので、そう感じていただけるのはうれしいです。

──そんな幅広いジャンルに精通されているとは! だからこそ細部にこだわったグッズが開発できるんですね。そんな塩見さんが今おすすめのグッズがあれば教えてください。

推したいグッズは、やはり「おすわりぬいぐるみペアバッグ」です。お座りポーズのぬいぐるみが2体入る形状の為、「ぬいバ」としては少し大きめですが、2体並べた時に反発し合い倒れないよう、何度もサンプルを作成し完成させたものです。とっても可愛いのでぜひお手持ちのぬいぐるみを入れてみてほしいです!

取材・文/つちだ四郎

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