日本代表、アジアカップで評価を下げてしまった5名の選手

アジアカップで準々決勝敗退に終わった日本代表。

敗れた相手がランキング的にほぼ同等のイランだったとはいえ、昨年からの快進撃を考えると物足りない結果、そして内容だったと言わざるをえない。

今回は、アジアカップで評価を下げてしまった5名の日本代表選手を紹介する。

鈴木彩艶

5試合で8失点。初めて臨んだビッグトーナメントで、21歳のGKは非常に厳しい現実を突き付けられた。

アジアカップでの日本の失点、その多くは鈴木彩艶以外の要素に左右されるものだった。しかし、大会を通して相手チームが彼に全く脅威を感じていなかったこともまた事実。最後の砦であるからこそイメージは非常に重要だ。

得意のビルドアップに関しては現状でも日本トップクラス。その一方で、イラン戦では利き足でない左足で中央へ出したパスが結果的に同点弾につながってしまっている。

攻守において露呈した甘さをクラブに戻り一つずつ取り除いていくことが、鈴木が今大会全試合にフル出場した"意味”となる。

菅原由勢

国際Aマッチ9連勝中の日本を多くのチームがリスペクトし、入念な対策を講じてきたアジアカップ。その中でターゲットにされた一人が右サイドバックの菅原由勢だった。

第2次森保体制で早々にレギュラーの座を掴み、ピッチ内外で重要な役割を担っていた菅原。しかし、今大会は初戦のベトナム戦からゲームにフィットせず、局面の対応で軽さが目立った。

単純なデュエルでも負けるシーンが散見。1月という難しい時期に行われたこともあるだろうが、大会に臨むうえで心身の準備が不足していたことは否めない。

結局1-2で敗れた第2戦のイラク戦以降、毎熊晟矢の活躍を見守る立場に。右サイドバックでは橋岡大樹が今冬プレミアリーグのルートンへ移籍しており、ポジションを取り戻すためには再び実績を積み上げる必要がある。

板倉滉

左足首の“ネズミ”を除去する手術を行ったため、ほぼぶっつけ本番でアジアカップに臨んだ板倉滉。最初に敗れたイラク戦では先制点の場面から一つ一つの予測と判断が甘く、試合勘の不足をうかがわせた。

この試合、ハーフタイムに谷口彰悟が冨安健洋と交代。相手FWのアイメン・フセインも負傷したため板倉のプレーにそこまで注目は集まらなかったが、すでに不安の欠片をピッチ上に表れていた。

彼が欧州でプレーしてきたオランダやドイツでは、ロングボールを主体としたチームは現在皆無に等しい。センターバックとしての対応力が足りない面もあっただろう。

イラン戦で2失点に絡んだことにより、大きな批判の渦中にいる板倉。ただ、今の日本代表のサッカーへの適応性を考えればリベンジの機会は十分残されている。ステップアップを含め今後に期待したい。

伊藤洋輝

伊藤洋輝は2023年に評価を上げた選手の一人。好調なシュトゥットガルトで左サイドバックのレギュラーとしてプレーし、その経験を日本代表の活動にもつなげていた。ところが、アジアカップでは2022年のワールドカップと同様ブレーキとなってしまった。

今の日本代表は各選手が自ら選択肢を持てるかどうかがカギになるが、伊藤は判断を求められるシチュエーションがあまり得意ではない。イラン戦で一発狙いのロングパスを連発したことはその表れだ。

また、酒井宏樹がいなくなった現在のチームは左サイドバックで「高さの担保」を行う形となっている。ただ、身長188cmの伊藤は、相手に一番やられたくないポイントを見極める力が不足している。

結果、イラク戦でフセインをフリーにして決勝点を許し、イラン戦でも後半クロスに競り負けてあわやの場面を作られた。攻守ともに苦手なプレーを強いられた時の改善点は少なくない。

浅野拓磨

グループステージでは細谷真大、浅野拓磨、上田綺世の3人がスタメンで起用された1トップ。浅野は重要なイラク戦を任せられたが、若い細谷とともに及第点には届かないプレーだった。

ゴールへ向かう意欲が高いことはストライカーとしてプラスの面も大きい。しかし、今大会の浅野はアジアが相手ということもあってか焦りが勝ちすぎていた。

左足での強引なシュートや、逆に右足での素直すぎるフィニッシュ。そして途中出場したバーレーン戦、カウンターから迎えたチームの決定機で南野拓実に出した“手荒なパス”など、多くがゴールを生み出すための知性に欠けていた。

日本代表、アジアカップで評価を上げた5名の選手

前線ではアジアカップを経て上田綺世が頭一つ抜け出したが、まだ絶対的な存在ではない。彼と勝負をするためには、現状唯一4大リーグでプレーするFWとして知性を取り戻す必要がある。

© 株式会社ファッションニュース通信社