栃木県内初の公立「夜間中学」は栃木市に 2026年4月、学悠館高内に開設

栃木県教委が入るビル

 阿久澤真理(あくさわしんり)栃木県教育長は6日の定例記者会見で、義務教育を十分に受けられなかった人の学び直しの場となる「夜間中学」について、栃木市の学悠館高内に2026年4月、開設すると発表した。県内初の公立の夜間中学となる。学悠館高はJR・東武栃木駅に近く交通の利便性が高いことや、県南地域に外国人が多い点などを考慮して選定した。宇都宮市と小山市に1校ずつある民間の夜間中学とも連携し、教育機会の充実を図る。

 国は教育機会確保法に基づき、夜間中学を27年度末までに各都道府県と政令都市に1校以上設置するよう促している。県教委は18年、市町教委などと連絡会議を設置。外国人を含む県民のニーズ調査などを踏まえ、今年1月には福田富一(ふくだとみかず)知事が設置を表明し、場所や時期を検討してきた。

 学悠館高は、定時制と通信制を持つ単位制の「フレックス・ハイスクール」で、栃木駅から徒歩5分。火曜日以外の平日は通信制の空き教室を使用できるため、校舎を改修して活用する。1学年35人程度を想定し、学校名や詳細な教育課程などは今後検討する。

 県内に住む外国人は、22年末時点で4万4741人。このうち小山、栃木、足利、佐野の県南4市で計1万9518人と、全体の半数近くを占める。栃木市内に夜間中学を設置する理由について、阿久澤教育長は外国人の利用者が見込まれるとする一方、県北など遠隔地で通いにくい場合も想定し、オンラインの活用も検討すると説明した。

 20年国勢調査によると、全国の義務教育未就学者は89万8748人で、県内は1万3793人に上る。夜間中学では戦後の混乱期に義務教育を受けられなかった人や、学齢期を超えた外国人、不登校経験者など多様な背景を持った人が学ぶことが想定されている。

 阿久澤教育長は「通う生徒の多様なニーズに応え、課題を整理しながら他県にはない栃木らしさを出していきたい」と語った。

 県教委によると、23年10月時点で17都道府県が計44校を設置。今春には群馬県が開校を予定し、公立で設置が決まっていない自治体は関東で本県のみだった。

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