寒ぶり丼50分で完売 七尾の松乃鮨、射水に出店

寒ぶり丼を調理する6代目の南さん=射水市八幡町

 射水市の新湊漁港近くにあるシェアキッチン「みなとキッチン」が6日、能登半島地震で被災した飲食店主に店の無償貸し出しを始めた。初日は七尾市の老舗すし店「松乃鮨(すし)」が出店し、新湊漁港で水揚げされたブリを使用した「寒ぶり丼」を30食用意し、開店から50分で売り切れた。6代目の南智文さん(41)は「七尾から離れた地でこれだけ多くの人が利用してくれてありがたい」と感謝した。

 松乃鮨がある七尾市は断水が続いている。店舗も液状化の影響で傾き、営業できない状態が続いている。みなとキッチンではブリをあぶりや漬けなどの一手間を加えた丼を提供。開店前から地域住民らで列ができ、脂がのったブリを堪能した。

 来店客が南さんに「頑張ってね」と声を掛ける場面も見られた。南さんは「七尾での営業ができない中で、このような場を与えてもらえたことに感謝している」と述べた。

 松乃鮨の出店は7日まで。みなとキッチンの活動は「能登の飲食店・つづける応援プロジェクト」と銘打ち、利用者には孫七・川田水産(射水市)が鮮魚を浜値で提供する。新湊観光開発(同)も協力し、無料で旧ホテル第一イン新湊に宿泊できる。

© 株式会社北國新聞社