熊本城マラソン、ランナーに「無理しない走り」呼びかけ 心肺停止、過去2件 AED隊ら430人態勢

熊本城マラソンの「城下町4キロ」のコースを自転車で巡回するモバイルAED隊=2016年、熊本市中央区

 18日に迫った熊本城マラソン。フルマラソンの定員が前回よりも2千人多い従来の1万3千人に戻る中、医療関係者が懸念するのがランナーの心肺停止だ。昨年はゴール直前の男性が陥り、2020年も1件発生。適切な処置で、いずれも命は取り留めているが、専門家はランナーに対し、健康管理に加え「無理をしない走り」を呼びかける。

 3年ぶりだった昨年大会では、50代の男性ランナーがレース最終盤の坂道を駆け上がり、ゴールまでわずか数十メートルの場所で倒れた。近くの二の丸広場の救護所などから医療スタッフが駆けつけ、発生から1~2分内に胸骨圧迫(心臓マッサージ)やAED(自動体外式除細動器)を使った心肺蘇生に着手。熊本市内の病院に救急搬送され、快方に向かった。

 心肺停止は処置が1分遅れるごとに生存率が10%ずつ低下するといわれる。熊本城マラソンの実行委事務局は、3分以内に到着できる医療態勢を目指し、AEDを携行した定置隊をコースに18カ所、自転車で巡回するモバイル隊を8班配置。これとは別に救護所を13カ所開設する。医師や看護師、救急救命士、医療系の学生ら総勢430人が担う。

 心肺停止を防ぐには、ランナー自身の健康管理も欠かせない。特にレース後半では心臓と肺に負荷がかかった状態なので起きやすいという。20年大会でも発生したのは39キロ地点だった。とりわけ狭心症や心筋梗塞など心臓に持病を持っている人は危険性が高い。大会前には、かかりつけ医に出場できるか、診断を受けることが望ましい。

 心肺停止のほかにも注意が必要なのが低体温症だ。重症化すれば死に至ることもある。冷たい雨に見舞われた20年大会では、救急搬送が42人と続出し、完走率も83・30%と過去最低だった。

 熊本城マラソンの医療態勢を統括する熊本大病院災害医療教育研究センターの笠岡俊志教授(62)はランナーに対し、大会当日やレース中に体調が優れなければ「辞退やリタイアすることも勇気ある決断。心肺停止に陥ると、命が助かっても元の生活に戻れないケースも多い」と指摘。「特に最後の坂道は熊本城マラソン独特で、負荷が高く注意が必要。頑張りすぎないことが大事だ」と強調する。(樋口琢郎、米本充宏)

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