復帰3大会目の大坂なおみ、単複で初戦敗退を喫するも「本当に厳しい試合を1つ乗り越えれば」と今後に意欲<SMASH>

元世界ランク1位の大坂なおみ(現757位)が復帰3大会目として臨んだ女子テニスツアー「ムバダラ・アブダビ・オープン」(2月5日~11日/UAE・アブダビ/ハードコート/WTA500)。現地6日にシングルス1回戦が行なわれ、大坂は今季限りでの現役引退を表明している元世界7位のダニエル・コリンズ(アメリカ/現71位)と対戦。5-7、0-6のストレートで敗れ、2回戦進出を逃した。

産休を経て年明けに約16カ月ぶりのツアー復帰を果たした大坂。先の全豪オープン(四大大会)では1回戦でカロリーヌ・ガルシア(フランス/元4位/現21位)に敗れたもののキレのある動きを披露し、状態の良さをアピールしていた。以来3週間ぶりの実戦となった今大会では本戦ワイルドカード(主催者推薦)で参戦し、初戦で過去3勝1敗と勝ち越しているコリンズと5度目の対決を迎えた。

試合は序盤から互いにサービスキープを続け、第10ゲームまでは両者ともに1度もブレークポイントがない緊迫の展開となる。しかし迎えた第11ゲームでは大坂がバックハンドのミスを連発し、最後はフォアハンドのウイナーを決められて痛恨のブレークを献上。そのまま第1セットを落とした。

第2セットに入ると大坂は急激に失速。第1セットとは打って変わってサービスキープに苦しみ、大きくリードを許す。ファーストサービスではわずか3ポイント、セカンドサービスに至っては1ポイントも取れなかった大坂。計6度のブレークバックのチャンスも全て取り損ね、結局1ゲームも奪えずに初戦敗退を喫した。
試合後のインタビューで26歳の元女王は、復帰後1勝3敗と苦戦が続いている自分への苛立ちを抑えながら、次のように前向きな言葉を絞り出した。

「私は(常に)自分自身にかなり厳しい言葉をかけている。それがどんな言葉なのかは自分でもわかっているけど、(今の段階で)それを口に出すと、本当に悪い感じに聞こえてしまう。今日も少々『失敗した』と感じたけど、あまり自分に厳しいことを言いたくはない」

同日には世界6位のオンス・ジャバー(チュニジア)とのペアでダブルス1回戦にも臨んだ大坂だったが、こちらも3-6、3-6のストレートで敗退。それでも大坂は約6年半ぶりとなるダブルスを戦ったことが、コリンズ戦での敗戦のショックを払拭するのに大きく役立ったという。その上で今後の自身への期待をこう語った。

「まだ自信はあまりないけど、『自分は本当に良いテニスができない』と考えてしまうほどではない。今の私は本当に厳しい試合を1つ乗り越えて、それが何度も起こると認識する必要があると思う」

どんなトッププレーヤーでも長いブランクから完全復活を遂げるのは容易ではない。大坂にも焦らず自分のペースで以前の強さを取り戻していってほしい。

文●中村光佑

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