フラクトオリゴ糖豊富な「ごぼうと玉ねぎ」摂取で「花粉症」が1日でグッと軽くなる!

(写真:Ryuji/PIXTA)

記録的な猛暑と暖冬が影響し、今シーズンの花粉は例年より早く、多く飛散すると予想されている。

「日本では4千万人もいるといわれている国民病の花粉症。毎年、処方薬や市販薬、レーザー治療などで乗り越えている人も多いはずですが、高い医療費を支払う必要も副作用もなく、わずか1日で花粉症を治す方法があるのです」

こう力説するのは、『花粉症は1日で治る!』(自由国民社)の著書がある、東大名誉教授で微生物博士の小柳津広志さんだ。

ポイントは、免疫の暴走を抑制する「Tレグ細胞」だという。

「Tレグ細胞(制御性T細胞)を体内で増やすことができれば、花粉症などのアレルギー反応が抑えられます。たとえば非常にまれなIPEX症候群という病気は、ひどいアレルギー症状を引き起こしますが、この病気の人はTレグ細胞が造られないのです。

このTレグ細胞は、科学誌『ネイチャー』でも発表されているように、大腸内で酪酸菌の働きが活発になることで造られることがわかっています。それには、日々の食事で酪酸菌のエサであるフラクトオリゴ糖類(FOS)という水溶性食物繊維を摂取することが有効なのです」(小柳津さん、以下同)

とはいうものの、通常の食生活のなかでは、FOSは多く取れないという。効率よく摂取するためには、FOSの含有量が多い食材を意識的に取り入れる必要がある。

「手軽に入手できる野菜のなかで100g中のFOS含有量が多いのは、ごぼう、玉ねぎ、にんにくなどです。大きなスーパーでは1月ごろから販売されるようになるきくいもは、100gあたり8〜17gもFOSが含有されています」

花粉症を抑制するためには、このFOSを1日20g以上摂取することが勧められるという。

そこで小柳津さんに、FOSをたっぷり食べられるレシピを教えてもらった。

「『モリモリ揚げごぼう』は、ごぼう(120g)を1cm幅に斜め切りし、片栗粉(小さじ1)をまぶして170度の油で5分揚げます。それを、合わせ調味料(しょうゆ・酢・水各小さじ1、砂糖小さじ2)になじませ、白いりごま(小さじ2)をまぶして完成です。七味唐辛子はお好みで。

『キクイモの粕漬けグリル』は、キクイモ(200g)を洗って耐熱袋に入れ、電子レンジ(600w)で3分加熱し、厚みを半分に切ります。味噌(20g)、酒粕(30g)、みりん(大さじ1)をよく混ぜてそこにキクイモを入れ、冷蔵庫で半日以上漬けこんでから、漬けダレを落として中火(200度)のグリルで10分焼きます。あればキャラウェイ(小さじ1)、又はカレー粉少々を漬けだれに入れると、深い味わいに」

FOSのような水溶性食物繊維は、食べてから2〜3時間ほどで小腸を通って大腸に達するという。

「大腸の中でFOSをエサに酪酸菌が活性化してTレグ細胞が造られるまでに1時間、そのTレグ細胞が全身に行き渡るまでに1時間かかります。早ければ、適量のFOSを摂取して4〜5時間後には花粉症の症状が治ってくるのです」

■花粉症だけじゃない!シミやうつ、脳の炎症にも

さらに、Tレグ細胞は全身の炎症反応を抑える効果もあるため、ほかの体の不調を改善する働きも期待できると、小柳津さんはいう。

「ぜんそくなどほかのアレルギー反応にも効果的。脳の炎症反応が原因であるうつ病の改善も見込まれます。紫外線による炎症で起こるシミやシワも改善します」

また、FOSを取り入れて睡眠障害が改善するという報告もある。

「そのメカニズムはわかりません。ただ、酪酸菌が増えることで、日中に体温が0.5度ほど上がることがわかっています。日中、活動的になり、夜は急激に体温が下がるため、体のオン/オフが切り替えられ、夜にしっかりと眠気を誘ってくれるためだと考察しています」

ただし、Tレグ細胞は無尽蔵に造られるわけではないので、毎日FOSを摂取しなければならない。また、新しいTレグ細胞ほど免疫の暴走を抑える力があるという。

「花粉症は起床時や就寝時に強く出て、日中、外出したり緊張しているときに症状が少ない人が多いので、夕食時にFOSを意識した食事をすると、より効果的でしょう」

であれば、毎日夕食にごぼうを1本食べればFOSの摂取量はだいぶ稼げるが、さすがに現実的ではない。

「たとえばごぼう50g、玉ねぎ2分の1を目安にして、不足分はサプリで補うのもいいでしょう」と小柳津さん。

そこで、初心者の目安である“ごぼう50gと玉ねぎ2分の1”を使用したレシピを、管理栄養士の和泉裕子さんに考案してもらった。副作用がないFOSを取り入れた食生活で、花粉症シーズンを乗り越えよう。

■FOSがたっぷりとれる「ごぼう玉ねぎ」レシピ

【ごぼ玉ベーコンコンソメスープ】

〈材料〉1人分

ごぼう 50g
玉ねぎ 1/2個
ベーコン 10g
オリーブ油 小さじ1/2

A
コンソメ 1個
水 250ml
パセリ 少々

〈作り方〉

(1)ごぼうは縦半分にしてから斜め薄切り、玉ねぎは縦に薄切り、ベーコンは細切りにする。
(2)小鍋にオリーブ油と(1)を入れて、焦がさないように玉ねぎがしんなりするまで炒める。
(3)Aを加え蓋をして、沸騰したら弱火で10分煮る。
(4)器によそい、パセリをふる。

【ごぼう玉ねぎ鯖缶のさっぱりサラダ】

〈材料〉1人分

ごぼう 50g
玉ねぎ 1/2個

A
酢 大さじ1
砂糖 小さじ1
塩 小さじ1/5
鯖の缶詰 1/3缶(汁込み60g)

〈作り方〉

(1)ごぼうは縦半分に切ってから斜め薄切りにし、ラップに包んで電子レンジ(600w)で約1分加熱する。
(2)玉ねぎは縦薄切りにする。
(3)耐熱ボウルにAを入れて電子レンジ(600w)で約30秒温めて溶かし混ぜ、ごぼうと玉ねぎを加えて漬ける。
(4)玉ねぎがしんなりしたら鯖の缶詰を粗くほぐして加え、混ぜる。

【牛肉ごぼう丼】

〈材料〉1人前

牛薄切り肉 100g
ごぼう 50g
玉ねぎ 1/2個

A
みりん 大さじ1と1/2
しょうゆ 大さじ1と1/2
水 150ml
ご飯 1人前
紅生姜・小ねぎ 各適量

〈作り方〉

(1)ごぼうは縦半分にしてから斜め薄切りに、玉ねぎは縦に1cm幅にする。
(2)フライパンに(1)とAを入れて、蓋をして沸騰したら弱火で約15分煮る。
(3)牛肉を加えて火が通るまで更に煮る。
(4)丼にご飯を盛って(3)をのせ、小ねぎを散らして紅生姜を添える。

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