好条件の長崎ランタンフェス 集客期待 宿泊予約好調、周辺市にも波及 人手確保には悩み

土産店の前に長崎ランタンフェスティバル関連商品として「光るミニランタン」が山積みされていた=長崎新地中華街

 4年ぶり本格開催となる「長崎ランタンフェスティバル」(9~25日)に宿泊観光事業者が期待を膨らませている。著名な芸能人の参加に加え、放映中のテレビドラマで取り上げられ、全国的な知名度がアップ。こうした条件下で宿泊予約は好調で、長崎市も集客目標を過去最多の136万人と設定した。ただ、大勢を迎え入れる上で人手の確保に悩む声も聞かれる。
 市内宿泊施設の多くが土曜を中心に週末は満室。稲佐山観光ホテル(曙町)は週末の客室稼働率が例年を上回る90%以上という。特に24日は国公立大2次試験前日とも重なり、問い合わせが殺到。担当者は「忙しくても取りこぼしがないよう、お客さま一人一人をしっかりもてなしたい」と気を引き締める。
 カンデオホテルズ長崎新地中華街(銅座町)には、シンガー・ソングライター福山雅治さんと俳優仲里依紗さんの「皇帝パレード」参加が発表された昨年末から、問い合わせが増えた。通常より2万円ほど高価格に設定しているが、週末稼働率は「昨年を上回っている」。
 先月開業したばかりの長崎マリオットホテル(尾上町)も先月の稼働率は60%だったのが、80%まで伸びてきた。担当者は「長崎での滞在に満足してもらいたい」と奮起する。
 効果は周辺の市にも波及している。県旅館ホテル生活衛生同業組合の塚島宏明専務によると、雲仙市の温泉街や大村市などの宿泊客数も増加。要因として「3連休が2回あり、開催期間も例年より2日間長い」と挙げる。
 西九州新幹線開業で長崎市へのアクセスが飛躍的に向上した佐賀県武雄市も。同市観光協会は「武雄に泊まってランタンフェスティバルへ」と呼びかけ、期間中に武雄温泉駅内で茶や菓子をふるまうイベント、武雄の特産品が当たる抽選会を開催し「一緒に盛り上がれば」と期待を込める。

 土産店や飲食店も書き入れ時。長崎新地中華街(長崎市新地町)の中国雑貨店「MinMin」は、ランフェス関連や今年の干支(えと)「辰(たつ)」のグッズを増やす。ただ、スタッフは「人が足りず、早く閉める飲食店も多いようだ」と中華街一帯で人手不足が懸案となっている実情を明かす。
 近くで中国雑貨やタピオカドリンクなどを販売する「タピパンダ」も、小籠包を中心に在庫数を普段の5倍に。今年は特に忙しくなると見込み、短期アルバイトを募集した。スタッフは「ようやく5人ほど集まった。ノンストップで頑張らないと」と気合を入れる。

 同市を舞台にした月9ドラマ「君が心をくれたから」(KTN)でランフェスが登場した。長崎国際観光コンベンション協会広報宣伝課の長谷友子さんは「ここでさらに情報発信に力を入れて後押ししたい」。交流サイト(SNS)でロケ地の情報なども掲載してPRする。

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