復旧への道のり長く、温泉街では職失う人も…深刻な「液状化」も妨げに 石川・和倉温泉、内灘町【能登半島地震】

1月27日から31日まで、TUFのスタッフはJNN取材団として能登半島地震の被災地を取材しました。最初に取材したのが、能登最大の温泉地・七尾市の和倉温泉と、液状化が発生した内灘町です。こちらでは、観光、農業に大きな被害がありました。

1月1日、最大震度7の地震が襲った石川県の能登半島。地震から4週間が経った1月28日、七尾市の「和倉温泉」では、復旧作業が足踏み状態となっていました。

浦部智弘アナウンサー「塀があったと思われる場所は完全に崩れてしまっています。ブロックがめちゃくちゃになっています。」

もともとは情緒あふれる宿が並ぶ北陸有数の温泉街でしたが、塀は崩れ、瓦は落ちて散らばるなど、地震の爪あとが今もなお深く残っています。

創業220年の老舗旅館「美湾荘」。外壁の真ん中から縦に長い亀裂が入り、館内にも大きな影響がありました。さらに、源泉につながる配管も損傷していました。

美湾荘・白髭哲さん「日曜日も休みを返上して直しに来てもらっている。きれいにしてもらったが、地震発生時は歪んでしまって、中の配管もだめで」

復旧までは「長い道のり」温泉街では職失う人も…

元日はほぼ満員の220人の予約があった美湾荘では、地震で客室の扉が開かなくなり、バールでこじ開け逃げた人もいたと言います。

白髭さん「防火扉があんな風に外れちゃって」 浦部「あれ防火扉なんですか?」

美湾荘では、1月30日から建物の状態を1か月程度調べ、復旧工事にとりかかる予定で、6月末まで予約は受け付けないということです。

白髭さん「一般の通常営業できるように修復と改装を進めていければと思っているが、まだまだ長い道のりになると思っている。」

和倉温泉では、22あるすべての宿泊施設で営業再開の見通しが立っていません。また、温泉街の旅館で働く人の中にはこんな人も…。

和倉温泉の旅館で働いていた「パートの人までそこまでできないってきのう(解雇を)言われて落ち込んで、きょう日曜日だからあした職安に行かないと…」

時間の経過とともに、雇用をはじめ人々の生業全体に不安にさらされている現実がありました。

能登から離れた場所でも深刻な「液状化」被害

浦部智弘アナウンサー「内灘町に来ています。液状化がひどく道路が切れてしまっています。その奥は岩が落ち、道路が波打ったような状態になっています」

石川県の中西部、金沢市の近郊にある内灘町では、地震直後に発生した液状化が復旧を妨げていました。砂が地面から吹き出したり、家が大きく傾いたたりする様子があちこちで見受けられました。

内灘町民「せめて道路だけでも直してもらえないかなという思いはある」

内灘町は、建物の被害状況を調べる県の応急危険度判定で、1679棟の建物のうち、4分の1にあたる432棟が最も危険度が高い「立ち入り危険」と判定されました。

町の沿岸部の水田は干拓でできた場所も多く、地面が割れたり、細かい砂が盛り上がったりしていました。ふるさと納税で町の返礼品となるコメを作っている川辺俊一さんによると、復旧には3年ほどかかると言います。

川辺俊一さん「3年もかかったら田んぼは作れない。草が生えて。ふるさと納税のコメを送らないわけにはいかないと思っている」

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