「会社員の年金」は「14万円」くらいあるのに「専業主婦」だと「6万円」くらい。どうしてこんなに差があるのでしょうか?

会社員と専業主婦は加入する年金が異なる

公的年金制度は、図表1のように職業などによって加入する制度や対象者が異なります。

【図表1】

※日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」より筆者作成

会社員や公務員の夫に扶養されている専業主婦は第3号被保険者被保険者となり、受け取れるのは国民年金のみです。それに対し、会社員や公務員は厚生年金保険に加入しているため、将来的に国民年金と厚生年金のそれぞれを受け取れます。

会社員や公務員は厚生年金を受け取る分だけ、専業主婦よりも年金額が高くなることを認識しておくとよいでしょう。

専業主婦がもらえる年金額

専業主婦(第3号被保険者)が原則として65歳以降に受け取れる年金額は、保険料を納付した期間によって異なります。令和5年度の年金額は、年額79万5000円(月額6万6250円×12ヶ月分)です。例えば、専業主婦である期間(第3号被保険者期間)が25歳から60歳までの35年間(420ヶ月)だった場合にもらえる年金は、以下のように計算します。

・79万5000円×(420ヶ月÷480ヶ月)=69万5620円(年額)5万7960円(月額)

厚生年金の平均受給額

第2号被保険者に扶養されている専業主婦が受け取れる年金は、令和5年度は79万5000円(満額)のみです。それに対し、会社員や公務員などは、国民年金に加えて厚生年金を受け取れます。厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和4年度の厚生年金の平均受給額は以下のとおりです。

__●65歳以上の男性:16万7388円
●65歳以上の女性:10万9165円__

専業主婦が年金額を増やす方法

受け取れる年金額を少しでも増やしたい専業主婦は、以下の方法を検討してみてください。

__●繰下げ受給をする
●追納制度で保険料を納める__

方法別に内容を解説しますので、適切な方法を選択しましょう。

繰下げ受給をする

65歳を過ぎても収入源がある、十分な貯金がある場合は、年金の繰下げ受給を検討してみてください。年金の繰下げ受給とは、通常65歳から受け取れる年金を66歳以降75歳まで遅らせる制度です。

年金の受取開始時期を1ヶ月繰り下げるごとに0.7%の増額率が適用され、1年間で8.4%、5年間で42.0%、10年間で84.0%まで増額できます。適用された増額率は生涯にわたって変わらず、繰り下げるためになんらかの手続きを行う必要はありません。

追納制度で保険料を納める

国民年金保険料の免除・納付猶予、学生納付特例の承認を受けていたなど、未払いの期間がある場合は後から追納することで老齢基礎年金の年金額を増やせます。ただし、追納する際には以下のような注意点があることを把握しておきましょう。

__●追納が可能な保険料は追納が承認された月の前10年以内に限られる
●保険料の免除や納付猶予の承認を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に追納する場合には、承認を受けたときの保険料額に対して経過期間に応じた加算額が上乗せされる__

追納の手続きをする際には、申請用紙にマイナンバーカード、またはマイナンバーが確認できる書類と運転免許証、パスポート、在留カードなどの身元(実存)確認書類を年金事務所へ持参または郵送してください。

年金額を確認したいときはシミュレーションも活用しよう

会社員や公務員は国民年金と厚生年金保険に加入しており、将来的に老齢基礎年金と老齢厚生年金の受け取りが可能です。会社員や公務員の夫に扶養されている専業主婦は、第3号被保険者となり国民年金のみ受け取れます。厚生年金の受給権がないため、会社員や公務員の夫と比べて年金額が少なくなることを避けられません。

国民年金保険料の免除・納付猶予、学生納付特例の承認を受けていたなどの理由で未納期間があれば、受け取れる年金額が少なくなる可能性が高いです。ねんきんネットやねんきんダイヤルで将来的に受け取れる年金額の目安を調べてみて、老後資金に不安を感じる場合は適切な方法で年金額を増やすことを検討しましょう。

出典

日本年金機構 公的年金制度の種類と加入する制度
日本年金機構 年金の繰下げ受給
厚生労働省年金局 令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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