世界文化遺産「周口店遺跡」を訪ねて 中国北京市

世界文化遺産「周口店遺跡」を訪ねて 中国北京市

周口店遺跡前の北京原人復元像。(1月14日撮影、北京=新華社記者/藍建中)

 【新華社北京2月7日】中国北京市房山区周口店鎮の竜骨山にある周口店遺跡は周口店北京原人遺跡とも呼ばれ、約20万~70万年前に北京原人(ホモ・エレクトス)、10万~20万年前に初期現生人類(ホモ・サピエンス)の「新洞人」、1~3万年前に新人(ホモ・サピエンス・サピエンス)の「山頂洞人」が生活していた。世界でも資源が豊富で、体系的かつ価値の高い初期旧石器時代の人類遺跡、太古のアジア大陸の人類社会を解き明かす貴重な歴史的証拠であり、人類の進化の過程を物語っている。

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周口店遺跡の入り口。(1月14日撮影、北京=新華社記者/藍建中)

 周口店遺跡の発掘調査と研究は世界の人類・考古学の一大プロジェクトであり、1929年に中国の考古学者、裴文中(はい・ぶんちゅう、1904~82年)が北京原人の頭蓋骨を発見したことで、世界の古人類学界から注目されるようになった。

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猿人洞の外観。周口店遺跡の第1発掘地点であり、北京原人の化石はここで出土した。(1月14日撮影、北京=新華社記者/藍建中)

 遺跡の保護範囲は1368ヘクタールで、これまでに異なる時代の各種化石と文化財埋蔵地27カ所を発見。人類化石200点余り、石器10万点余りのほか、火の使用痕跡のある大量の遺構、100種類を超える動物化石などが出土した。人類化石の宝庫であり、古人類学や考古学、古生物学、層序学、年代学、環境学、カルスト学など複合領域の総合研究拠点となっている。

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猿人洞の壁面に投影された地層の説明。周口店遺跡の第1発掘地点であり、北京原人の化石はここで出土した。(1月14日撮影、北京=新華社記者/藍建中)

 遺跡の出土品は、北京原人が20万~70万年前の周口店地域に居住し、採集を主として狩猟を補助的に行う生活を営んでいたことを証明した。北京原人は類人猿からホモ・サピエンスへの進化の中間に位置する原始人類で、その発見は生物学と歴史学、人類発展史を研究する上で極めて高い価値を持つ。

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猿人洞の内部。(1月14日撮影、北京=新華社記者/藍建中)

 遺跡第1発掘地点(北京原人遺跡)は遺跡の東端、竜骨山の東北側斜面にある。天然の石灰岩鍾乳洞で俗に「猿人洞」と呼ばれ、北京原人の頭蓋骨が出土した。

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猿人洞の刻石。(1月14日撮影、北京=新華社記者/藍建中)

 第26発掘地点(山頂洞人遺跡)は遺跡東端の竜骨山山頂の洞窟にあり、1930年に発見され、33~34年に裴氏が中心となり発掘した。山頂洞人は後期旧石器時代の華北地域に存在した人類で、人類化石とともに石器や骨角器、穴の開いた装飾品が出土。現時点で中国最古の埋葬習慣も確認された。

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猿人洞の内部。左側の洞窟は鴿子堂(こうしどう)と呼ばれ、発見時にハトが住み着いていたことからその名が付いた。(1月14日撮影、北京=新華社記者/藍建中)

 周口店遺跡は1961年に第1次全国重点文物保護単位(国宝・重要文化財)に指定され、87年に国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録。2021年に中国の「百年百大考古発見」に選ばれた。2013年には周口店国家考古遺跡公園も完成した。(記者/藍建中)

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北京原人が火を使っていたことを示す猿人洞の灰じん層。(1月14日撮影、北京=新華社記者/藍建中)

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猿人洞の内部。(1月14日撮影、北京=新華社記者/藍建中)

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猿人洞の内部。中央の洞窟は鴿子堂(こうしどう)と呼ばれ、発見時にハトが住み着いていたことからその名が付いた。(1月14日撮影、北京=新華社記者/藍建中)

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鴿子堂(こうしどう)の内部。(1月14日撮影、北京=新華社記者/藍建中)

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周口店遺跡の「東坡」発掘エリア。(1月14日撮影、北京=新華社記者/藍建中)

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鴿子堂(こうしどう)の入り口。(1月14日撮影、北京=新華社記者/藍建中)

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狩りから戻った北京原人の像。(1月14日撮影、北京=新華社記者/藍建中)

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打製石器を作る北京原人の像。(1月14日撮影、北京=新華社記者/藍建中)

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周口店遺跡の第15発掘地点。(1月14日撮影、北京=新華社記者/藍建中)

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山頂洞人が暮らしていた洞窟。山頂洞(上洞)遺跡は裴文中(はい・ぶんちゅう)が1930年に中国で初めて発見した第四紀後期の山洞で、周口店鎮西側の竜骨山山頂北東部にある。北京原人の化石が見つかった猿人洞の南西に位置する。(1月14日撮影、北京=新華社記者/藍建中)

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山頂洞の外観。山頂洞(上洞)遺跡は裴文中(はい・ぶんちゅう)が1930年に中国で初めて発見した第四紀後期の山洞で、周口店鎮西側の竜骨山山頂北東部にある。北京原人の化石が見つかった猿人洞の南西に位置する。(1月14日撮影、北京=新華社記者/藍建中)

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山頂洞の刻石。(1月14日撮影、北京=新華社記者/藍建中)

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周口店遺跡がある房山世界ジオパークの境界標識。(1月14日撮影、北京=新華社記者/藍建中)

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 山頂洞の内部。(1月14日撮影、北京=新華社記者/藍建中)

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1966年に北京原人の頭蓋骨が見つかった場所。(1月14日撮影、北京=新華社記者/藍建中)

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猿人洞の上部。(1月14日撮影、北京=新華社記者/藍建中)

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周口店遺跡の模擬発掘エリア。(1月14日撮影、北京=新華社記者/藍建中)

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周口店遺跡科学普及体験館の内部。(1月14日撮影、北京=新華社記者/藍建中)

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周口店遺跡の第2発掘地点。(1月14日撮影、北京=新華社記者/藍建中)

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周口店遺跡科学者記念園。古人類学や古脊椎動物学、地質学で傑出した貢献を残した6人の中国科学院院士(アカデミー会員)、楊鍾健(よう・しょうけん)、裴文中(はい・ぶんちゅう)、賈蘭坡(か・らんは)、尹賛勲(いん・さんくん)、周明鎮(しゅう・めいちん)、呉汝康(ご・じょこう)が埋葬されている。(1月14日撮影、北京=新華社記者/藍建中)

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北京原人頭蓋骨を最初に発見した裴文中(はい・ぶんちゅう、1904~82年)の墓。(1月14日撮影、北京=新華社記者/藍建中)

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賈蘭坡(か・らんは、1908~2001年)の墓。1929年に北京匯文中学を卒業すると、31年に中国地質調査所新生代研究室に入り、周口店北京原人遺跡の発掘に参加。36年11月に三つの北京原人頭蓋骨を発見した。(1月14日撮影、北京=新華社記者/藍建中)

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周口店遺跡の入り口。(1月14日撮影、北京=新華社記者/藍建中)

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