『コスチュームジュエリー 美の変革者たち』京都文化博物館で シャネルやディオールなど450点、ドレスとのコーディネートも

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あまり耳慣れないかもしれないが、「コスチュームジュエリー」とは、宝石や貴金属などの高価な素材を用いずに、優れたデザインによって装いを際立たせる宝飾品のこと。20世紀初頭にヨーロッパで生まれ、アメリカへと広がったこの「コスチュームジュエリー」に光をあてた世界的にもまれな展覧会が、2月17日(土)から4月14日(日)まで、京都市中京区の京都文化博物館で開催される。

コスチュームジュエリーを服飾に取り入れた先駆者は、女性をコルセットから解放したことで知られるフランスのファッションデザイナーのポール・ポワレだった。同展は、そのポワレが妻のためにデザインした華麗な作品《夜会用マスク、ブレスレット「深海」》で幕を開ける。

その後の1920年代、シャネルが模造パールやガラスビーズを素材とした個性あふれるジュエリーを手がけたのを皮切りに、スキャパレッリやディオールといったデザイナーもこれに続き、さらに1930年代には様々なオートクチュールメゾンも追随した。従来のジュエリーの伝統を背景に、卓越した技をもつ職人たちの力を借りて生み出された自由な素材の表現力豊かなジュエリーは、社会進出を果たした女性たちから絶大な支持を得て、その人気はアメリカにも広がっていく。そして、伝統にとらわれない新興のアメリカでは、大企業の工場での大量生産を通じて、品質の安定した安価なコスチュームジュエリーの大衆化が進められることになった。

同展は、研究家でコレクターでもある小瀧千佐子の貴重なコレクション約450点を一堂に並べ、こうしたコスチュームジュエリーの発展の軌跡をたどるものだ。素材の自由さやデザインの斬新さが際立つコスチュームジュエリーの個性的な様式美の魅力を広く紹介すると同時に、社会の変化とともに女性たちがジュエリーをどのように受け入れ、自らを輝かせるために用いてきたかを明らかにする試みでもある。

今回の大きな見どころのひとつは、コスチュームジュエリーとともに生まれた新時代のドレスと合わせた展示があることだ。神戸ファッション美術館所蔵のシャネル、ディオール、スキャパレッリのドレスが、小瀧がコーディネートしたジュエリーと一緒に紹介される。個々のジュエリーのきらめきとともに、そのコーディネートの妙も楽しめる贅沢な展観となっている。

<開催概要>
『特別展 コスチュームジュエリー 美の変革者たち シャネル、ディオール、スキャパレッリ 小瀧千佐子コレクションより』

会期:2024年2月17日(土)~4月14日(日)
会場:京都文化博物館 4・3階展示室
時間:10:00~18:00、金曜は19:30まで(入場は閉館30分前まで)
休館日:月曜
料金:一般1,600円、大高1,100円、中小500円
公式サイト:
https://www.bunpaku.or.jp/exhi_special_post/20240217-0414/

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