南米チリのセバスティアン・ピニェラ前大統領が6日、乗っていたヘリコプターが墜落して死亡した。74歳だった。
ヘリコプターはチリ南部のランコ湖に墜落した。同乗していた他の3人は無事だったという。
このヘリコプターは、実業家でもあったピニェラ氏の所有だったが、当局は墜落時に同氏が操縦していたか明らかにしていない。
チリ政府は、3日間の服喪を発表した。
保守派のピニェラ氏は、チリで大統領を通算2期務めた。1期目の2010~2014年には、急速な経済成長を実現して評価された。
2010年には、アタカマ砂漠の鉱山に作業員33人が69日間、閉じ込められた落盤事故に対応し、世界から注目を浴びた。
一方で、2018~2023年の2期目では、不安定な社会情勢に見舞われた。
ピニェラ氏の遺体は、チリ海軍によって収容された。スペイン氏エル・パイスによると、ピニェラ氏は毎年2月の家族との休暇を、この地域で過ごしていたという。
南米首脳らが追悼
左派のガブリエル・ボリッチ大統領は、「セバスティアン・ピニェラ氏は、2018年3月11日に2期目の大統領に就任した際、『私たちはみなチリ人であり、共にそれを夢見、描き、築くべきだ』と述べた。私たちは、この困難な時期にある彼の家族と愛する人々に大きな抱擁を送る」と、追悼の言葉を述べた。
ブラジルのルイス・イナシオ・「ルラ」・ダ・シルヴァ大統領はソーシャルメディアに、ピニェラ氏の死去に「驚き、悲しんでいる」と投稿。
「私たちは仲が良く、両国の関係強化に努め、共に大統領であったときも、そうでなかったときも、常に良い対話をしていた」と語った。
アルゼンチンのマウリシオ・マクリ元大統領は、ピニェラ氏の死は「替えの利かない損失」であり、「計り知れない悲しみ」を感じていると述べた。コロンビアのイヴァン・ドゥケ前大統領も、友人の死に大きな悲しみを感じていると述べた。
1949年に生まれ、米ハーヴァード大学で経済学を学んだピニェラ氏は、1980年代に所有する会社バンカードを通じてクレジットカードをチリに導入。同国でも有数の富豪となった。
2010年の大統領選では、チリ初の女性大統領だった左派のミシェル・バチェレ氏を下し、1990年に軍事政権が終結して以降で初となる、保守派大統領となった。その際、自らの商才をチリの経済成長に使うと約束した。
ピニェラ氏は、チリ最大の航空会社やサッカークラブ、テレビ局などにも投資していた。
(英語記事 Sebastián Piñera: Former president of Chile dies in helicopter crash)