今どき不妊治療クリニックはここまで変化していた!「負担なく通える場所づくり」に取り組む新規クリニックとは?

2022年4月、不妊治療の保険適用がスタートして1年半が経ちました。費用が均一化したことにより、日本全国どこでも治療内容が同じになった、という声も聞かれる一方で、クリニックそれぞれで個性的な取り組みが広がっているようです。どんな変化が起こっているのか? 3つのクリニックを訪れ、取材しました。

今回は、平日22時まで、駅直結と負担なく通える場所づくりに取り組む、にしたんARTクリニック院長の松原直樹先生にご回答いただきました。

今どき不妊治療クリニックはここまで変化していた!「『妊活たまごクラブ』編集長の突撃ルポ」 #1
※参考:「妊活たまごクラブ 初めての不妊治療クリニックガイド 2023-2024」

【ドクター&ジャーナリスト対談】不妊治療の保険適用から約1年半。どう変わった?これからどうなる?

☆Keyword

●平日22時、土日祝は18時まで診療
●15分院内見学ツアーを随時開催
●働く人に優しい駅直結の好立地

【Q】“最短で最善の治療”と謳われていますが、具体的な治療法や体制を教えてください。

優しい光に包まれた受付(写真上)とラグジュアリーな待合スペース(写真下)

【A】従来の治療と最新の治療を融合させ、2人に寄り添いながら最善の方法を提案

■松原直樹先生(以下、松本先生)「長年、不妊治療に携わりつらい思いをしているカップルに関わってきました。そういった方々に寄り添いながら、従来のタイミング療法や人工授精、体外受精などに加え、最新の治療を取り入れ妊娠のチャンスをできるだけ広げる努力もしています。また2人にとって、どの方法がいちばん早くて適しているのかをカウンセリングしながら、治療に臨んでいます。」

【Q】平日は22時まで、土日祝日は18時までと診療時間を長く設定した背景は?

2つある診察室はどちらもスタイリッシュなインテリアと落ち着いた色調が印象的。気軽に相談できる空間づくりに努めているそう

【A】通院の負担をできるだけ軽減するため、仕事帰りや休日に通える工夫をしました

■松原先生「駅の地下出入り口直結という立地を生かし、仕事帰りに立ち寄れるように診療時間を長く設定しました。これなら通院のために、仕事を休む必要もありません。実際に半数以上の方が、17時以降に予約を取られていますし、週末など休日に訪れるカップルも多数いらっしゃいます。不妊治療のクリニックというと構えてしまいがちですが、できるだけ気軽に訪れてほしいですね。」

【Q】先進医療の一環としての不妊検査には、どのようなものがありますか?

【A】不妊の原因を探るため、保険診療との併用が可能なさまざまな検査も実施

■松原先生「不妊治療には3割自己負担の「保険診療」と、全額自己負担となりますが、保険適用外の治療も選択できる「自由診療」があり、この2つの治療を併用することは禁止されています。しかし、「自由診療」の場合、その中で「先進医療」として認められた検査や技術は、保険診療と併用することができます。下記は先進医療の一環として保険適用となる検査の一例です。※保険周期は別の周期で行う必要があります(大阪院のみ実施)」

ERA(エラ)検査

良好な受精卵を複数回移植しても妊娠に至らない場合の「子宮内膜受容検査」。遺伝子レベルで最適な胚移植のタイミングを特定できる。

EMMA(エマ)&ALICE(アリス)検査

子宮内膜の善玉乳酸菌の割合を調べるEMMA検査と、病原菌による子宮内膜の炎症「慢性子宮内膜炎」の原因菌を検出するALICE検査。

TRIO(トリオ)検査

ERA・EMMA・ALICEの3つをセットに一度で検査することで、子宮内膜の状態を調べることができる。

採卵室

すっきり広々とした採卵室には最新の設備を完備。
仕事帰り(夕方)に採卵できる取り組みも始めているそう(詳しくは問い合わせを)。

リカバリールーム

採卵室に隣接してあるリカバリールームは全4室用意。採卵や移植手術後にゆったり休めるよう配慮された、落ち着いた空間はホテルのよう!

【Q】忙しいカップルのために、約15分でクリニック内の見学ができると聞きました。

【A】クリニック内の特徴的な設備を中心に見学した後、無料カウンセリングも可能

■松原先生「どんなに忙しい方でも時間を調整できるように約15分の院内見学ツアーを常時開催しています(要事前予約・無料)。見学後、希望があれば、カウンセラーによる個別相談、医師の診察をご案内しております。治療は十分にご理解いただいた上でスタートしていただきます。」

カウンセリングルーム

初めての不妊治療で不安な人や転院を考えている人など、さまざま相談に専任カウンセラーが対応。
カウンセリングルームも3室用意されている。

培養室

高い技術が求められる胚培養士が、真剣なまなざしで働いている培養室。
胚の成長を最新技術で見守るタイムラプス(写真右下)も2台設置。

【編集長check!】仕事との両立が可能、働く方に優しいクリニックに期待!

洗練されたホテルのような居心地のよさで、いわゆる「クリニック」を感じさせない雰囲気や、夜22時までの診療、駅直結で働くかたにも優しく仕事との両立ができることが、魅力的。
医療という分野を越えて、不妊治療の新たな裾野を広げるクリニックが他にも登場するかもしれません。

不妊治療 2人のスタートガイド 最初の受診前に知りたいQ&A【専門家監修】

●松原直樹 先生

●撮影/合田和弘、鈴木江実子
●イラスト/丹下京子
●構成・文/飯田由美(BEAM)

※記事掲載の内容は2023年8月25日現在のものです。以降変更されることもありますので、ご了承ください。

▼『妊活たまごクラブ 初めての不妊治療クリニックガイド 2023-2024』は、妊活から一歩踏み出して、不妊治療を考え始めたら手に取ってほしい1冊。

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