Rooftop編集部の小野です。「歌姫」という言葉はもう死語なのかもしれないけど、いわゆるDIVA的な方ではなく、独特の存在感や世界観のある女性ボーカリストに昔から無性に魅かれるので、ここでちょこちょこと紹介していこうかなと思います。
ケイティ・ジェーン・ガーサイド（Daisy Chainsaw / Queenadreena / Ruby Throat / Liar,Flower）
80年代後半から90年代前半に活動していたUKオルタナティブ・パンクバンドDaisy Chainsawの初代ボーカル。99年にDaisy Chainsawギタリストのクリスピン・グレイとゴシック / オルタナバンドQueenadreenaを結成。10年ほど活動し、フォークデュオRuby Throatや、ソロ活動などを経て、現在はLiar,Flower名義のソロ（？）で活動中。
彼女の最大の魅力である何歳になっても変わらないロリータボイスと、オルタナティブをまさに体現したようなステージでの存在感は圧倒的で、歌というよりその存在という意味で一番好きな歌姫。
▼Daisy Chainsaw - Love Your Money - Live 1992 https://youtu.be/44IKv9mD7P4?si=z1PkSYBgZu0CoIma
危なっかしいパフォーマンスを見てお分かりの通りDaisy Chainsaw時代は奇行が多かったらしく（急に坊主にしたり）、パフォーマンスの部分もあったとは思うがメンタルに問題を抱えていたようで、Daisy Chainsawは加入して3年、デビューして1年で脱退。 初期のJUDY AND MARYはDaisy Chainsawを意識していたというぐらい、ロリータでパンキッシュなケイティに、男前ギタリスト、クリスピンのグラムロックなスタイルと、ビジュアルがポップで可愛くてたまらない。 ▼Queenadreena - Pretty-Like Drugs (Music Video) https://youtu.be/82P40PnMNmQ?si=rOWvwPp5MXDXa_3o
Daisy Chainsaw脱退から6年後、クリスピンと組んだQueenadreenaでは、それまでのロリータな部分に大人の妖しさが加わり「ゴシックロックの元祖」とよく言われているが、悪魔的な世界観などではなくケイティの病的な内面を投影した独特のダークな世界観で、パンク、ブルース、ノイズロックなどを内包したオルタナティブなサウンドなど全体的に的Daisy Chainsawより洗練されていて、私は断然Queenadreenaの方が好き。
▼Queenadreena - Pretty Like Drugs (live 2003) https://youtu.be/pGYAxi8OMxU?si=fKQY-F83cKLEpsK3
奇行的なステージパフォーマンスは健在ながら絶妙なギリギリのラインでちゃんとコントロールされていて、バナナを食べながら歌おうとも、クリスピンの髪を掴んでウザ絡みしようとも、毎回衣装をビリビリ破いてほぼ全裸のような姿になろうとも、決して下品ではなく、神聖ささえ感じるほどの圧倒的な存在感を放っていた。 ▼Queenadreena - Pull Me Under https://youtu.be/bOkD2IONq-0?si=wU8j68lJMHJNdK9-
▲この曲が一番好き
2008年の原宿アストロホール、渋谷クアトロと2度の来日で至近距離でケイティを拝んだ時は本当に感動した。東急ハンズのショップ袋をチューブトップワンピースのように着て登場し、ビリビリやぶきながらほぼパンツ一枚になって歌う姿は、とてもこの世のものとは思えないというか、キリストとか巫女とかイタコとか、映画『300』に出てくる、長老たちに薬でいいようにされている女の人とか、そこに自分の意志でいるとは思えない、何かに取り憑かれている人を見ているような、不思議な感覚だった。
▼Ruby Throat - Naked Ruby https://youtu.be/3UimJBohc6g?si=FyGtYhe0sQM1Ijnk
短期で脱退したDaisy Chainsawに比べ、1999年〜2009年の約10年間というわりと長期間Queenadreenaとして活動し、Ruby Throatでのフォーキーナサウンドへ移行する。Ruby Throatもいいんだけど、やっぱりQueenadreenaのあの刹那的なステージでの彼女を求めてしまう。
でも、もし今Queenadreenaが復活したとしても、やっぱり当時のQueenadreenaとは別物なわけで、あの時のあのケイティはあの時代にしか存在しない。だからやっぱり、観たいと思った時にライブは行かなきゃダメだなと最近つくづく思う。ケイティ・ジェーン・ガーサイド、現在55歳。コートニー・ラブ、59歳。まだ全然いけるだろう。何形態でもいいからもう1回観たーい！（Text：小野妙子 / Rooftop編集部）
