国の借金が「1000兆円」もあるようです。借金が多いなら少しずつ返済したらよいのではないでしょうか?

国の借金の現状と増え続ける理由

財務省の発表によると普通国債残高は増加の一途をたどり、2023年度末には1068兆円に達すると見込まれています。国債費は、「債務償還費」「利払費」からなりますが、いずれも政府債務残高増加の影響を受けます。

政府債務残高が増加した理由は時代とともに変化しており、1990年代は公共事業関係費の増加が主因でした。近年は、社会保障関係費の増加や景気の低迷、累次の減税等による税収の減少などが主因となっています。

また、2008年に起こったリーマンショックや、2011年に発生した東日本大震災も借金増加の原因の1つです。

国が借金をなかなか返済できない理由

国が単に借金を返すだけなら、国が発行するお金の額を増やす方法もあります。しかし、それでは根本的な解決になりません。重要なのは、歳出と歳入の乖離(かいり)が広がって借金が膨らんでしまう財政の改善です。単に借金を返すだけで、財政がそのままでは再び新たな借金が増えるだけでしょう。国の財政状況が悪化し続ければ、日本の通貨「円」の価値が下落し、過度な円安や物価の高騰を招く恐れもあります。

2022年12月から起こった物価高は、国民の生活に大きな影響を与えました。国の財政がこれ以上悪化すると、もっとひどいインフレが起きる可能性もあります。そのような事態を防ぐために、国は借金を急いで減らすより、財政の健全化を模索する道を選んでいます。

日本の借金はどう返すのが理想?

では、日本の借金はどのように返していくのが理想的なのでしょうか?本項では、日本の借金を返済する理想的な方法を紹介します。

国の主な収入は税金です。日本が経済的に成長し続けていれば、税収は放っておいても増えていくでしょう。しかし、現在の日本はかつてのような急成長は望めません。そのため、財政の健全化とともに経済を発展させる道筋をつくることが重要視されています。

プライマリーバランスをプラスにする

プライマリーバランスとは、社会保障・公共事業に代表される行政サービスを提供するために必要な経費を税収などで賄えているかどうかを示す指標です。プライマリーバランスがプラスならば、国は国民から集めた税の収入で社会保障などのサービスを提供できます。しかし、現在の日本のプライマリーバランスは赤字です。政策的経費は借金で賄われており、国の借金がかさむ原因となっています。

プライマリーバランスが赤字のままならば、借金を返せても財政は健全化しません。プライマリーバランスを黒字にするには、税収を増やすか支出を減らす必要があります。これは一朝一夕にできる方法ではなく、息の長い取り組みが必要です。

最終的には税金だけで財政を賄うのが理想

国は、支出を減らす政策と税収を増やす政策の両方を行っています。特に、税収を増やす政策は重要です。国は現在、民間投資の拡大、労働力の確保と質の向上に力を入れています。

その一方で、行政サービスの質を維持しつつ出費を減らしていく努力も求められています。最終的に税金だけで国の支出を賄うのが理想ですが、それまでには、もう少し時間がかかりそうです。

国の借金返済は長期的な取り組みが必要

国の借金は長期間かけて増加していきました。したがって、単にお金を返しただけではまたすぐに借金が増えていくだけでしょう。

国の借金返済は、財政の健全化とセットで行わなければなりません。理想は、緩やかなインフレ状態を作り、国民の収入を増やして税収を上げることですが、それまでにはもう少し時間が必要です。そのためのかじ取りをする能力が、国には求められています。

出典

財務省_日本の借金の状況
内閣府_第2節財政の現状と変動要因

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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