手術なしの性別変更を認める 違憲決定受け法改正前に

性別変更が認められる決定を受け、記者会見する臼井崇来人さん=7日午後、岡山市

 性同一性障害と診断され、生殖能力をなくす手術を受けていない岡山県新庄村の農業臼井崇来人さん(50)が、戸籍上の性別を女性から男性に変更するよう求めた家事審判で、岡山家裁津山支部は7日、生殖能力をなくす要件は憲法違反だとして、性別変更を認める決定をした。臼井さんの申し立ては2度目だった。

 性同一性障害特例法には、性別変更の際に生殖能力をなくす手術を事実上求める規定(生殖能力要件)があるが、最高裁は昨年10月に違憲、無効とする決定を出した。家事審判は非公開で、違憲決定に沿う形で性別変更を認められ、当事者が記者会見で公表するのは初めてとみられる。特例法改正を前に、今後も各地の家裁で同様の判断が続きそうだ。

 臼井さんは岡山市内で記者会見し「(トランスジェンダーの性別変更に)大きな扉が開いた」と笑顔で話した。

 臼井さんは、2016年にも同様の審判を申し立て、生殖能力要件について争ったが、最高裁は19年に「現時点では合憲」と判断していた。最高裁の判例変更を受け、昨年12月に改めて性別変更を申し立てていた。

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