ウナギ・サヤカ、本気の東京ドーム宣言「自分がこうやりたいと思ったことをあきらめないという生き方を証明したい」

2024年に入っても、自主興行で後楽園ホールを成功させ、さらに飛躍が期待できそうなウナギ・サヤカ。改めて自主興行の成果を振り返ってもらうとともに、その先に見据える東京ドーム大会についても訊いてみた。

――まずは自主興行から1か月が立てましたが、改めて振り返ってみて、超満員の後楽園ホールという風景をご覧になっていかがでしたか。

ウナギ もちろん嬉しいというのもありましたけど、会場全体があったかったですよね。今までいろんな人たちに喧嘩を売ったり、言ってきたりしたのもあって、もちろんアンチも存在する空間でもあったわけで、ピリッとしたところもあったとは思います。でも、私の自主興行なんで、「この日だけはプロレスラーも含めてみんな私のためだけのためにやってくれるって思ってます」って一番最初に言ったんですけど、本当にその感じが強くて、今までいろんな試合をしてきましたけど、雰囲気は全く別物でしたね。

――正直、フタを開けるまでは単独の自主興行で後楽園ホールが超満員札止めになるとは予想できなかったのですが、ウナギさんはどう考えていましたか。

ウナギ 正直、自分の中では(自主興行の)カードが決まった瞬間にもう「大丈夫だ」って思いました。だって、どのカードも絶対、面白いに決まっているというすごい自信があったので。この人たちに任せていれば大丈夫っていう、自信と信頼というか。それは選手に限らず、リングアナだったり、レフェリーだったり、スタッフさんも本当に100点というか、信用できる人を持ってきていたというのもあるんで。でも、逆にお客さんが入らなかったとしたら、「このカードでお客さんが入らないほうが頭おかしいでしょ?」って思うくらいのめちゃくちゃいいカードだったし、自分もお客さんだったとしたら「うわっ、これは見たい」というカードを持ってこれたし、絶対大丈夫っていう自信はありました。

――その中でウナギさんは2試合に出場、ちなみに別人ではありますが、ダークウナギ選手も出場されていましたね。第1試合から相当ハードな試合をされましたが、試合が終わって、完走してみてどうでしたか。

ウナギ よく生きていたなあって言う感じですね。メインの対戦相手を見てもわかると思うんですけど、女だからとか、何試合やってるからだとかで手加減してくれる相手ではないので、そういう意味でも間違ってなかったと思っています。自分のなかで7月に(ゼロワンの)火祭りをやって、その後、爆破もやって、短期間でめっちゃキツかったんですよ。精神的にも肉体的にも特にしんどかったんですけど、それを乗り越えてきたからできるって思っていました。大丈夫じゃないことをやらないと人は成長しないと思うんで、…1日2試合をやったことなかったわけではないんですけど、ここまで自分が頑張らないといけないカードをやれたということで、またこの一つの自信にはなったかなっていう。

――体のダメージはすごかったですが。

ウナギ はい、だから大丈夫ではないです(笑)。本当死ぬかもって思うくらいキツかったんですし、これはやっちゃいけないなって思ったけど、これを乗り越えられたという自信にはなりました。

――この後楽園大会の開催前には「407万円の貯金をすべて使う」という話をされていましたが、結果はどうなりましたか。

ウナギ あ、返ってきました!

――ではトントンくらいには…。

ウナギ トントンよりは全然稼げたし、何なら引越ししてやろうかなっていうくらいには。自主興行が始まる前は、利益は何に使ってやろうかなって思っていたんですけど、でも、次は東京ドームっていう目標を立てたので、使えないですよ(笑)。もっと、もっとでかいお金がいるってなったんで、また頑張って貯めていくしかないなって。だって私、全然贅沢していないんででよ。ギャン期に入ってから、物販の列もありがたいことにたくさん並んでもらって、お客さんにさくたん見に来ていただいたりして、「いやー稼いでるでしょう」ってめっちゃ言われるんですよ。逆にそういわれるのが嫌だから後楽園にしたんですよ。「私は使いますよ、あなたたちのために」って。今回、頑張って貯めた貯金を全部使い果たしたんですよ。でも今は「うわー。これよりでかくなるのか―」っていう恐怖ですよね。でもまあ、やるって言ったらやるしかないので、東京ドーム、やります。

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――自主興行で東京ドームってこれまで前例もないですし、よくそこまで考え方が振り切れるなって思うのですが…。

ウナギ だって、めっちゃ夢ありません?なんかできるような気がしているんですよ。普通に考えたら、絶対無理なことなんですけど、今まで絶対に無理なことを奇跡的に超えてこれた自分がいて。誰も後楽園で自主興行でやることさえ予想していなかったと思うし、私もしてなかった。本当にノリと勢いで言ったんで。そもそもプロレスを始めたのもノリと勢いだったし(笑)。これまで、「絶対無理だよ」「やめといたほうがいいよ」って言われて辞めることのほうが自分でも多かったし、普通だったら、みなさんもやらないってことに合わせてきたと思うんですよ。でも、「あきらめなくていいんだよ」っていうことを証明したい気持ちがあって。

――たしかに後楽園大会をやるっていうのは普通に考えたら、「絶対無理だよ」って周りから言われるのも仕方ないとは思います。

ウナギ そうですよね。そもそも私はもともと30歳くらいでプロレスデビューというところから始まった時に、「ババアが」「無理だよ、お前なんかババアだから」って言われていたのも、「なにくそ」って、自分に火ついたことあるし、その瞬間に人ってここで心が折れるんだなっていうのもわかった。でも、そこで頑張ってよかったし、できるかもしれないっていうのを、みんなに見せれた気がして。たぶん、その当時に私が「東京ドームやりますよ」って言っても周りは「ハアー?」じゃないですか。でも今だったら、「え、できるかもしれないんじゃないの?」って思ってくれる人もいると思う。「無理だろ」って思う人ももちろんいると思うんですけど。プロレスって見ている人に、何度も立ち上がる姿から勇気を与えたり、チャンピオンになる姿を見て、得てもらうこともあるんですけど、それだけじゃなくて、みんなの生活に取り入れてもらうこともあるんじゃないかなって思って。でも、逆らえってことじゃないですよ、私を見ていたら、逆らえばいいって思っちゃう人もいるかもしれないですけど、じゃなくて、「もうできない」「絶対無理だよ」って言われたことをあきらめない。自分がこうやりたいと思ったことをあきらめないという生き方が本当にあるんだよっていうことを証明したいという気持ちが強くなりました。

――そういう意味でも後楽園ホールをやったことは本当によかったと。

ウナギ (しみじみと)やってよかったです…。自分はイッテンヨン(1月4日)が周年なんですよ。本当はそのままイッテンヨンでやれれば良かったんですけど、その日は激戦区すぎるのし、箱も押さえられないですし。でも、自分がやるなら自分が生まれた後楽園ホールでやりたいという気持ちもあったので、ここでやることに意味があったなって思います。

――その後楽園大会と並んで、ウナギさんの新しいチャレンジとしては昨年、アメリカ遠征というものがあったと思うんですけど、昨年のアメリカ遠征を通じて、どういったことがプラスになりましたか。

ウナギ 今までは日本人選手と当たるのがほとんどだったわけですけど、アメリカを経験して、こんなに人がいるんだっていうのがよくわかりましたね。日本のプロレスって海外の人はめちゃくちゃ好きなんですよね。日本のプロレスって言われる中で、自分の中で違和感だったのは、男子とシングルした時も思ったんことなんですけど、日本のプロレス、アメリカのプロレス、男子のプロレス、女子のプロレスってめっちゃ言うけど、私のなかでは一つしかないと思っていて。やっていることはみんな一緒じゃないですか。たしかに(体の)大きさとかは違うけど、唯一のものなんですよ。

「アメリカでプロレスをやります」って言っても言葉も全く通じないし、私からしたら何を言ってるか全くわからない。それでも一緒のリングの上で1対1で闘える。プロレスはプロレスなんだ、世界共通言語というか、わからなくても一緒にできるんだということは本当にすごいことだと思っています。その中でお客さんの人数も含めて大きいリングとなると、アメリカだったメキシコだったりするわけで、世界は広いなって思ったし、自分がシングルでやった子が次の週にROHのチャンピオンになったりして。そういうのを含めて世界の広さや大きさは感じましたけど、プロレスという同じものをやっているので、可能性としては私もあるわけだしもっとどん欲に、欲張りで行きたいなと思いました。

――プロレスは一つ、ということで言えば2月25日新木場で初遭遇となるルチャリブレ(ウナギ・サヤカ&駿河メイ対ジュビア&ハロチータ)に関しても同じことが言えますね。

ウナギ 私がこのスタイルしかやって来ていないので、逆にあの二人がルチャだろうがアメリカだろうがやることは変わらないし、「ルチャじゃなくてもおもしろいじゃん」ってあの二人に思わせたら勝ちだと思う。これ日本人の悪いクセですよね? 自分がルチャの世界に足を踏み込むって思っているかもしれないですけど、むしろ私が「こっち側でやらしてやるよ」っていう気持ちで行くので。なので、ルチャに寄るつもりはないですし、ルールは向こうの3本勝負かもしれませんけど、カブキワールドをお前らに教えてやるよって伝えたいです。

――もしかしたらこの戦いの先にメキシコという世界があるのかもしれない。

ウナギ あるのかもしれないではなくて、あるしかないなので。たまたま日本で二人とやるってことになったけど、これは絶対、自分が引き寄せたと思いますし、向こうに行くための序章にすぎないので。二人にはその餌食になっていただきたいです。

CMLL×レディースリング×メキシコ観光
日時:2月25日(日) 12:00開始
会場:東京・新木場1stRING

メインイベントスペシャルタッグマッチ日本対メキシコ
ウナギ・サヤカ&駿河メイvsジュビア&ハロチータ

▼大会詳細はCMLLレディースリング公式Xにて

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<インタビュアー:泉井弘之介>

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