量産態勢に入ったNEC小川航基。“ケチャドバ”の匂いを漂わせて公式戦10発。「みんなが僕のことを見てくれるようになった」【現地発】

2月3日のオランダリーグ、対ヘラクレス戦で2ゴールを決めたNECのFW小川航基が、6日のKNVBカップ準々決勝、対ADOデン・ハーグ戦でも先制ゴールを記録。欧州挑戦1年目の小川は公式戦10ゴール(オランダリーグで7ゴール、KNVBカップで3ゴール)と量産態勢に入った。

ADOデン・ハーグ戦の開始わずか2分、MFチャロン・シェリーの蹴ったCKに、ファーサイドで小川がヘッドで合わせ、NECが幸先良く先制した。

「感じが良く、今日もなんか入りそうだなという感覚が試合前からありました。良い時間帯でゴールを決められたのは、チームにとっても良かった。(前半30分頃から)ちょっと悪い時間帯がありましたけれど、やっぱり1点先制していたことで、チームとして気持ち的に楽な部分がありました。だから先制のゴールは大きかったんじゃないかなと思います」

マークに付いたDFに競らせることすら許さなかったヘディング弾。その秘訣は?

「ちょっと相手のマークの付き方が、僕しか見てないような感じで、ボールを見てなかったので空間把握ができてなかったんじゃないでしょうか。『これならタイミングが合えばいける』と感じました。良いゴールだったと思います」

この日の小川は59分間プレー。その後、NECは2点を追加し3-0で勝った。

オランダが生んだ名ストライカー、ルート・ファン・ニステルローイが「ゴールはケチャップと一緒で、一度決まるとドバドバ出始める」という名言を残した。その『ケチャップ・ドバドバ』の匂いが、今の小川には漂っている。

「ここ最近、得点を取れているので、ちょっと僕もその匂いを感じています。みんなが僕のことをよく見てくれるようになったので、『得点源だな』と思ってもらえるように期待にしっかり応えたい」

そう言うと小川は「トップ下の選手、本当に良い選手が入ってきた。パスを出せる選手なので、僕にすごくチャンスが回ってくるんじゃないかと思います」と続けた。

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「トップ下の本当に良い選手」とは、冬の移籍市場でマッカビ・ハイファから加入した35歳のスリナム代表レフティ、シェリーのこと。フローニンゲン時代はエースとしてKNVBカップ優勝に貢献し、マッカビ・ハイファではチャンピオンズリーグの対パリ・サンジェルマン戦でゴールを決めたベテランは、NECで早くも2ゴール・1アシストを記録。ヘラクレス戦ではシェリーのスルーパスを受けた小川が倒されてPKに。これを小川が自ら決めていた。

「自分でPKを取ったんですが、その時の僕の動き出しを、彼(シェリー)がしっかり見てくれてノールックでパスを出してくれたんです。そういう左利きの選手の特長を把握していたからこそ、ああいう動き出しをすることができました。本当に良くなっているという感覚があります」

アヤックス、PSV、ユトレヒト、トゥエンテといった優勝候補が次々に姿を消し、準々決勝に残った強豪はフェイエノールトとAZだけ。しかもこの両者が7日、ロッテルダムで潰し合う。NECにとって今季のKNVBカップはタイトルを狙う絶好のチャンスだ。

「優勝したらヨーロッパリーグ(グループステージ・ストレートイン)に出られるんですか? そういった面でも楽しみですね。カップ戦が入ってきて中2日で試合をするというのは、なかなか経験したことがないですけど、やっぱりサッカーはゲームをするのが一番なので頑張りたいですね」

信頼をさらに高めている点取り屋が、タイトル奪取を目ざすチームを力強くけん引している。

取材・文●中田 徹

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