タイ中銀、予想通り金利据え置き 首相「決定支持せず」

Orathai Sriring Kitiphong Thaichareon

[バンコク 7日 ロイター] - タイ中央銀行は7日、主要政策金利の翌日物レポレートを予想通り2.50%に据え置くことを決めた。据え置きは2会合連続。成長を押し上げへ利下げを求める政府の圧力に抵抗する形となった。

5対2で決定した。インフレ抑制に向けて2022年8月以降、合わせて200ベーシスポイント(bp)の利上げを行ってきたが、昨年11月に据え置きに転じた。政策金利は現在、約10年ぶりの高水準。

ロイター調査によると、27人のエコノミスト全員が今回の金利据え置きを予想していた。利下げは想定より早まるとの声も聞かれた。

中銀は声明で「現在の政策金利はマクロ金融の安定維持と整合的だ」と指摘。「従って大半のメンバーは今回の会合で金利据え置きを支持した。構造的問題による潜在成長率の低下を踏まえて2人は0.25%ポイントの利下げを求めた」と説明。また金利を適宜調整する用意があるとした。

カシコン銀行の資本市場調査部門を率いるKobsidthi Silpachai氏はメモで「(反対票により)金利緩和へのカウントダウンが始まった」との見方を示した。

中銀は経済成長が予想よりも鈍く、内需に支えられるが、構造的問題、特に競争力の低下が成長をさらに妨げるとした。

中銀の発表を受けて通貨バーツは1ドル=35.580バーツと小幅安。

セター首相兼財務相は記者団に「決定には同意しないが、受け入れる」と述べた。同氏は経済成長を促進するために利下げを求めていた。

中銀のピティ総裁補は記者団に、中銀と政府の間で経済に関する協議が行われていると明らかにした。

中銀は24年の成長率見通しをこれまでの3.2%から2.5─3%に引き下げた。22年の成長率は2.6%だった。

今年の総合インフレ率は1%付近となり、25年は加速すると予想した。

キャピタル・エコノミクスのアナリスト、ギャレス・レザー氏は「成長は引き続き弱く、インフレ圧力も非常に抑制されていることから、中銀は年内に金融政策を緩和すると考えている」と述べた。

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