友人が「児童手当が入った日は焼肉!」と言っていました。教育費などに使わないなら「子どものお金を盗っている」のと同じだと思うのですが、問題ないのでしょうか…?

児童手当とは

まずは児童手当について簡単に解説します。児童手当とは、中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童1人当たりに対して支給されるお金で、支給額は図表1のとおりとなっており、原則として、6月、10月、2月の年3回、前月までの4ヶ月分が振り込まれます。

図表1

こども家庭庁 児童手当制度のご案内

ただし、児童手当には所得制限が設けられており、親の年収が1000万円を超えてくると手当が5000円または全額カットとなっています(2024年2月時点)。

児童手当の支給対象は「親」なので焼き肉に使ってもOK

早速、本記事の結論になりますが、児童手当の支給対象者は「中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方」です。つまり、基本的に親を指すでしょう。よって児童手当は親のお金なので、親の独断で焼き肉代に使ったとしてもまったく問題ありません。

なお、児童手当の支給目的は「児童を養育する方に手当を支給することにより、家庭等における生活の安定及び次代を担う児童の健全な育成に資すること」となっているので、たとえ焼き肉に使ったとしても、それが児童の健全な育成に資していると考えることもできます。

子どもにかかる将来のお金も考えてほしい

児童手当を何に使おうと親の自由ではありますが、「タダで入ってきたのだし、気兼ねなく使っちゃおう」という考え方には少し注意が必要なのではないでしょうか。子どもが将来的に高等教育機関に進学する場合などには、大きな教育費がかかる可能性があるからです。

日本政策金融公庫の調査によると、高校入学から大学卒業までにかかる子ども1人当たりの教育費(入学・在学費用)は942万5000円となっています。児童手当を貯めておけばこのうちの200万円程度はまかなえるので、焼き肉に毎回使うのはもったいない気もします。奨学金が200万円と考えれば、あるとないとでは子どもの将来の生活にも大きく影響するでしょう。

【参考】2024年12月支給分から児童手当拡充

児童手当は2024年10月分(12月支給分)から以下のとおり拡充されます。支給される金額が増える分、今後の使い方を見直すよいタイミングかもしれませんね。

__・支給期間を高校卒業まで延長

・所得制限の撤廃

・第3子以降の増額(全期間3万円)

・支給回数を年6回に倍増__

まとめ

児童手当は子どもを育てている親に対して支給されているので、「児童手当が入った日は焼き肉!」でも問題はありません。子どものお金を盗っているわけではないのです。ただ、児童手当拡充を機に、将来の教育費などを見据えたうえで使い方を再検討してみるのもよいのではないでしょうか。

出典

こども家庭庁 児童手当制度のご案内
株式会社日本政策金融公庫 令和3年度教育費負担の実態調査結果

執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

© 株式会社ブレイク・フィールド社